- インタビュー
2025年04月21日
エッジAI向けファブレス半導体の開発・設計 - EDGECORTIX

- EDGECORTIX株式会社
ダスグプタ・サキャシンガ - 創業者 兼 CEO
2025年4月15日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。登壇されたスタートアップにMUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんがインタビューをしたので皆様にお届けいたします。
3社目はEDGECORTIXです。エッジAI向けファブレス半導体の開発・設計をするスタートアップです。今回は、EDGECORTIXの創業者 兼 CEO ダスグプタ・サキャシンガ氏にお話を伺いました。
めぇ〜ちゃん
- EDGECORTIXが開発する、AI半導体「SAKURAシリーズ」や異種デバイスをサポートするソフトウェア「MERA」は、エッジでクラウド並みの性能を低消費電力で実現しています。
創業者 兼 CEOのダスグプタ氏に伺いました
何をしている会社ですか?
ダスグプタ:当社は、エッジAI向けのファブレス半導体の開発・設計を手掛ける企業です。ソフトウェアとハードウェアの協調設計という独自の特許技術を活用し、高速かつ低消費電力で柔軟なエッジAI専用プロセッサを開発しています。
主な製品には、ランタイムで再構成可能なニューラルネットワークプロセッサIP「Dynamic Neural Accelerator(DNA)」や、マルチハードウェアプラットフォームに対応するコンパイラソフトウェアフレームワーク「MERA」、エネルギー効率に優れたAIコプロセッサ「SAKURA」シリーズがあります。
これらの製品は、防衛、航空宇宙、スマートシティ、インダストリー4.0、自動運転システム、ロボティクスなど、多岐にわたる分野での活用が期待されています。
当社のビジネスモデルは、これらのハードウェアおよびソフトウェアIPのライセンス提供や、関連するソリューションの提供を通じて、エッジデバイスにおける高性能なAI推論を実現し、顧客のビジネス価値を最大化することにあります。
サービスイメージ
なぜこの会社を立ち上げたのですか?
ダスグプタ:1980年代、日本の半導体産業は世界をリードしていましたが、日米半導体摩擦や産業構造の変化を経て衰退の一途をたどりました。
一方で、AI技術は近年急速に発展し、その計算量の爆発的増加は消費電力の課題を顕在化させています。私たちはこの電力とAI処理能力のギャップを、特にエッジデバイスでのリアルタイム処理において深刻なボトルネックと捉え、そこに技術革新の余地があると確信しました。ところが当時の日本には、それに対応できる柔軟かつ高性能な半導体設計の基盤が十分に整っていなかったため、自らその課題を解決するべく起業を決意しました。
最大のチャレンジは、国内で優秀なエンジニア人材を確保する難しさでしたが、幸いにも私たちの欧米・アジアに広がる人的ネットワークを活かし、世界中から優秀な人材を集める環境を整えることができました。日本発のテクノロジーで、再び世界にインパクトを与えるための挑戦が、EDGECORTIX設立の原点です。私たちは、日本発のテクノロジーで、再び世界に革新をもたらすことを目指しています。
これからの目標はありますか?
ダスグプタ:EDGECORTIXのサービスによって実現される未来は、エッジ側でのリアルタイムなAI処理が可能となることで、よりスマートで自律的な社会の実現が期待できます。
たとえば、自動運転車やドローン、産業用ロボット、監視システムなどが、クラウドを介さずに瞬時の判断と対応を可能とし、遅延のない安全かつ効率的な動作を実現します。また、低消費電力で動作するAIアクセラレータにより、エネルギー効率の高いIoT社会が構築され、持続可能なスマートシティの発展にも貢献します。さらに、セキュリティやプライバシーの観点からも、データをローカルで処理できることで、安全性の高いAI利活用が可能となり、産業から日常生活に至るまで、私たちの暮らしをより便利で安心なものに変えていく未来が描けます。
最後に一言お願いします
ダスグプタ:私たちは、AIの力をより多くの現場に届け、社会をよりスマートで持続可能なものに変えていく未来を目指しています。その実現のためには、皆さまとの「共創」が欠かせません。技術だけでなく、想いやビジョンを共有しながら、ともに新しい価値を生み出していけることを心から楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
めぇ〜ちゃん
- ネットワークインフラのパフォーマンスとエネルギー効率の向上という大きな課題に、必要なIPと専門知識の両方を提供して解決する、EDGECORTIX社に注目です!
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