- インタビュー
2025年12月24日
宇宙の難題に“構造”で挑む - cosmobloom

- 株式会社cosmobloom
福永 桃子 - 代表取締役
2025年12月18日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。登壇されたスタートアップにMUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんがインタビューをしたので皆様にお届けいたします。
3社目はcosmobloomです。ゴッサマー構造をはじめとする宇宙構造物の解析・設計支援やコンサルティング事業等を展開するスタートアップです。今回は、cosmobloom 代表取締役の 福永 桃子氏にお話を伺いました。
めぇ〜ちゃん- 「cosmobloom」は、独自の解析技術による膜面等を用いた超軽量・大面積構造で、デブリ低減や次世代通信・電力インフラ構築に貢献する宇宙構造ソリューションを提供しています。
代表取締役の福永氏に伺いました
何をしている会社ですか?
福永 :cosmobloomは、宇宙空間で使用される超軽量・大面積の膜面構造を中心とした展開型宇宙構造物を開発するスタートアップです。独自の非線形構造解析ツール「NEDA」を活用し、宇宙ゴミ対策品であるデオービット装置や、ダイレクト通信に向けた膜面アンテナをはじめ、次世代の通信・電力インフラに応用可能な構造ソリューションを提供しています。衛星の安全運用やスペースデブリ低減を実現するとともに、大面積構造が不可欠となる宇宙通信・エネルギー分野で新たな価値創出を目指す事業モデルが特徴です。

サービスイメージ
なぜこの会社を立ち上げたのですか?
福永 :cosmobloomの創業は、大学研究室で取り組んだ膜面等を用いた柔軟な展開構造の研究がきっかけです。薄い膜が宇宙で大きく展開し、新たなミッションを可能にする技術である一方、研究で終わってしまう現実に危機感を覚えました。この分野は日本が世界で評価されてきた領域だったので、この技術を絶やしたくない・絶やすべきではないという思いから、研究室の仲間たちと共に、社会実装へつなげるための起業を決意しました。cosmobloomの技術はデブリ低減や次世代通信・電力インフラの実現にも応用可能であると確信しているので、宇宙開発において新たな価値を創出していきたいです。
これからの目標はありますか?
福永 :cosmobloomの目標は、膜面展開技術を核とした超軽量・大面積構造を実用化し、宇宙空間の新しいインフラを築くことです。現在は、宇宙ゴミ対策品であるデオービット装置やダイレクト通信向け膜面アンテナの開発を進めていますが、将来的には通信だけでなく、電力といったインフラへの応用も視野に入れています。これらが実現すれば、宇宙デブリの発生を抑え、安全な衛星運用が可能になるだけでなく、地上と宇宙をつなぐ大容量通信や、宇宙空間からのエネルギー伝送など、地球で暮らす人々に役立つソリューションの創出にもつながります。cosmobloomの技術は、宇宙だけでなく、地球で暮らす人々の未来をより安全で持続可能に活用する基盤になると考えています。
最後に一言お願いします
福永 :cosmobloomは、宇宙と地球の双方で持続可能な未来を実現するために、これまで行ってきた宇宙構造物の社会実装に挑んでいます。私たちは構造の専門家であり、様々な技術と掛け合わせることで、ソリューションの数が増えていきます。ぜひ皆さまと共に、cosmobloomだけでは到達できない未来を創り上げていきたいと考えています。そんな共創の一歩を、是非皆さまと踏み出せたら嬉しいです。
KDDI 山本- ★推しポイント★
cosmobloom様が扱っている「ゴッサマー構造」は、軽く・大きく・正確に展開することが求められる、宇宙でも特に難易度の高い領域です。
その分、実現できれば通信・観測・デブリ対策など、応用範囲は非常に広い技術となります。この難領域に対して、解析から設計、実機検討まで一貫して取り組めている点は、国内外でも非常に希少なチームだと思います。
宇宙構造というニッチでありながら、複数のユースケースに横展開できる“基盤技術”を持っているcosmobloom様の技術は、今後、衛星数が増え、宇宙の持続可能性が問われる中で、必要不可欠なピースになると感じています。
それでは次回もお楽しみに♪

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