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2025年01月24日

世界最大級のエレクトロニクス展示会!CES 2025ーー海外トレンドレポート

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。


今回は、2025年1月7日~10日にアメリカラスベガスで開催された「CES 2025」の参加レポートをお届けいたします。


一色 望KDDIアメリカ
本誌の記者。KDDIオープンイノベーションファンドのアメリカ サンフランシスコ拠点でスタートアップとKDDIの事業創造を目指し、ディールソーシング(投資先探し)と投資評価に取り組み、既存の投資先企業もサポートしながらMUGENLABO Magazineの制作に携わる。趣味は世の中のトレンドサーチと、美味しいお店巡り、旅行、ジム通い。

CES概要

CESとはCTA(全米民生技術協会)が主催し、毎年1月に米国ラスベガスにて開催される世界最大級のエレクトロニクス展示会です。大手企業やスタートアップが最新のプロダクトやテクノロジーを展示する場として知られ、CES開催期間中は世界中から多くのメディアやメーカー、開発者、投資家が来訪します。

今年の来場者数は公式サイトによると14.1万人以上(昨年比+0.3万人)となっており、コロナ禍前の2020年に記録した171,000人には及ばないものの、着実に回復傾向にあることを示しています。

ハイライト -今年の最注目ポイントは「AIの進化と統合」

CTAから発表された今年のCESのイベントテーマは、 「DIVE IN(飛び込もう)」。このテーマには、「技術革新を通じて世界をより良くすること」「人々のつながりを深めること」「イノベーションに積極的に取り組むこと」の3つの意味が込められています。このテーマのもと、AIやデジタルヘルス、モビリティ、サステナビリティなど、様々な分野での最新技術や革新的な製品が紹介されました。

昨年に引き続き、今年最も注目されたトレンドは「AI」であり、AIが昨年にも増して様々な製品カテゴリーに広く適用されていました。特にAIを使ったエージェント/アシスタント機能がより洗練され、種々のデバイスインターフェースに統合されていました。

CTAがCES開催前に毎年行うKeynoteの中では、 2025年のトレンド予測について話され、今年は「人口動態と購買パターンの変化」、「デジタルとの共存」、「人間の安全保障」、「コミュニティ」、「長寿」をテーマとした考察を披露しました。

基調講演の最後は、2020年代がインテリジェンスの10年であるならば、2030年代は量子コンピューティングの10年になるだろうという考察の言葉で締めくくられました。

注目スタートアップ

Venetian Expoエリアには国ごとの展示ブースが設けられ、1,000社以上のスタートアップが自社プロダクトの展示を行いました。国別では今年も韓国ブースがかなり大きなスペースを用意しており、韓国大手のHyundaiやLGは自社のオープンイノベーションプログラムで採択したスタートアップらの展示ブースを大きく構えました。

スタートアップブースでもAIやロボティクス系の企業が目立つ印象を受けました。以下、注目スタートアップをご紹介します。

  1. Jizai 「Mi-mo」 (日本)
    6本の脚をつけた移動可能なテーブル型の汎用AIロボットを展示。
    ビジョン、オーディオ、モーションモデルを搭載しており、それらのインプットに基づいて自律的に考え行動することができる。ユーザーの好みに合わせて機能カスタマイズも可能。
    未発売だが、価格は卓上モデルで約$3,500、フルサイズモデルで約$30,000 ドルを見込む。CESメディアデーで先行公開し、海外メディアにも多く取り上げられた。
  2. 展示されていたテーブル型の汎用AIロボット

  3. Washing 「NOLA」(フランス)
    AIを活用して洗濯を効率化する初のインテリジェントシステム。洗濯物の種類や汚れの程度に応じて適切な洗浄と乾燥の自動分析が可能となる。
    また、利用する水とエネルギーを最小限にコントロールできる機能も備えている。
    このランドリーマシンは、スーパーや学生寮、キャンプ場などに設置予定としている。
  4. 展示ブース

  5. Tangible Future 「LOOI」 (アメリカ)
    手持ちのスマホをパーソナルロボットに変換するソリューションを提供。
    ChatGPTを搭載しており、簡単な音声コマンド、タッチ、手のジェスチャーで人間との対話が可能であり、手を振れば、写真撮影、頭を撫でれば、嬉しそうな表情変化などを楽しむことができる。$169~で既に販売中。
  6. 展示イメージ

注目のキーノート

NVIDIA
同社のキーノートはCESの一つの目玉イベントと言っても過言ではないほど注目されており、数千人がキーノート開始の2時間以上前から会場へ駆けつけ長蛇の列を作りました。
キーノートの中ではCEOのジェンスン・ファン氏が登壇し、同社の歴史、最新の生成AI機能との融合で低価格化も実現したGPU(画像処理半導体)、トヨタとの連携を含めた自動運転向けの新プロセッサー、AIが社内チームメンバーの一員となって業務を支援するAIエージェントの構築プラットフォームなどを次々と紹介しました。

また、生成AIの一歩先の技術として「Physical AI(フィジカルAI、物理的なAI)」というコンセプトを紹介。テキスト、映像、音声などのソフトウェアの範囲にとどまらず、生成AIでロボットなどのハードウエア制御が可能となるような「AIがリアル世界と融合」する未来について言及しました。そのうえで、ロボットが物理空間を再現したバーチャル世界で、大量の訓練をできるようにするプラットフォーム「Cosmos(コスモス)」を発表しました。この他、ロボット開発環境やロボット用制御チップを提供するとしました。

世界中のスタートアップが開発しているヒト型ロボットの映像を背景に立ったファン氏は、ロボットと共存する未来の可能性を提示し、注目を集めていました。

最後に

今回のCESは、昨年もトップテーマに掲げられたAIがより業種業界を超えた様々なプロダクトへの統合が進んでいる様子を感じとることができました。展示された商品の全体の4分の1がAIを利用しているということからも、新規プロダクトを検討する上でAIは欠かせない技術になっていると確信しました。

スタートアップも例外ではなく、多くの企業がAIを活用したプロダクト、ソリューションの開発に取り組んでいました。中でも、AIの次の大きなテーマとして期待される「Physical AI」が今後の技術トレンドとして注目されていくことは間違いなく、ビッグテック、スタートアップの動向に着目していきたいです。

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