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2023年04月20日

生物判定AIと生物分布ビッグデータで生物多様性の保全をビジネスに - バイオーム

株式会社バイオーム
藤木 庄五郎
代表取締役

KDDIは、生物判定AIと生物分布ビッグデータで生物多様性の保全に取り組むスタートアップの株式会社バイオームへ出資したことを公表しました。「KDDI Green Partners Fund」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。

今回は株式会社バイオーム 代表取締役の藤木庄五郎氏にお話を伺いました。


代表取締役の藤木氏に伺いました

何をしている会社ですか?

藤木:私たちバイオームは、世界中の生物や環境をビッグデータ化することで、生物多様性を保全することを目的としたビジネスに取り組んでいます。具体的には、ゲーム感覚で楽しみながら生物を記録できるtoC向けのスマートフォンアプリ「Biome(バイオーム)」や本格的な生物調査ができるアプリ「BiomeSurvey(バイオームサーベイ)」を開発・運営して生物多様性保全の基礎データとなる生物分布情報の収集や分析・解析を行っています。

どちらのアプリも撮影した動植物の写真からいきものの名前を判定するAIを搭載しており、いきものに詳しくない一般市民の方でもいきものの調査ができるようになっています。2023年4月現在、バイオームが保有しているリアルタイムの生物分布情報は450万件を超えていて、外来種や希少種の動向把握、気候変動の影響調査、生態系サービスの数値化、自然の観光資源化など様々な目的に活用しています。

また、生物多様性を可視化する「BiomeViewer(バイオームビューア)」といったサービスも展開しています。企業や行政、団体・研究機関などが自然環境の保全に取り組む際に必要不可欠なサービスプラットフォームを目指しています。


スマホ画面

なぜ会社を立ち上げたのですか?

藤木:大学時代に生態学の研究をしていたのですが、フィールドワークのために訪れた東南アジアのボルネオ島のジャングルで、急速に進行する森林破壊の様子を目の当たりにしたことが起業の原点です。本来ならば樹高70メートルもの巨木が立ち並んでいるような熱帯林が360度地平線まで伐採され尽くしているのを見て、「このままでは地球が危ない、何とかして生物多様性を保全しなければならない」と強く思うようになりました。

生物多様性の保全が進まない理由を考えたとき、環境を破壊することで儲かるという経済の仕組みがあることと、生物多様性を客観的に評価するためのデータが圧倒的に不足していることに気が付きました。そこで全世界で普及しているスマートフォンに目を付け、生物の情報を集めるアプリで世界中の生物多様性を見える化していくことで、環境保全と経済的合理性が両立する社会を作りたいと考えたのが会社を立ち上げたきっかけになります。

これからの目標はありますか?

藤木:弊社のアプリやサービスを海外にも展開させ、様々な企業や国々を巻き込んで世界中の生物多様性の保全に寄与したいと考えています。そのためにも、まずは既存アプリの開発・運営体制を大幅に強化して機能の向上や新機能の開発を加速させ、ユーザーやクライアントにより良いサービスを迅速に届けられる体制づくりを徹底していきます。


利用シーン

KDDIからの出資を通して期待していることはありますか?

藤木:アプリの機能や利便性の向上、新たなユーザー体験の構築など、様々なことが実現できるようになると考えています。また、多くの顧客基盤をお持ちであるKDDI様との連携によって、事業の拡大に向けた大きな起爆剤となることを期待しています。

24時間365日、あらゆる地域で利用されるサービスを展開するうえでリアルタイムの安定した通信技術やIoT技術は必要不可欠なものです。その社会インフラに生物多様性保全の観点を搭載できれば、できることの幅が大きく広がります。KDDI様と共に、これまで世界になかった新しい生物多様性保全の在り方を描いていけることを楽しみにしています。

最後に一言お願いします

藤木:バイオームはこれまで、生物多様性の保全を目的として数多くの企業や行政、団体、研究機関と連携してまいりました。一方で、生物多様性の損失の問題は経済社会と密接に結びついた非常に根の深い問題です。

世界中を見渡しても問題解決に向けて強い存在感を放っている国や企業はまだまだほんの一握りで、ビジネスとしても大きなチャンスのある領域です。これからも幅広く共創・協業し、世界をリードできるような企業を目指してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

株式会社バイオーム
https://biome.co.jp/
ゲーム感覚で楽しみながら生物を記録できるtoC向けのスマートフォンアプリや本格的な生物調査ができるアプリなどの開発・運営

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