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2021年10月29日
優勝は不動産テックのRsmileーーB Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka参加レポート
日本を代表するベンチャーキャピタルB Dash Venturesが、コロナ禍を経て2年ぶりに、スタートアップ・カンファレンス「B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka」を10月21〜22日にて開催しました。MUGENLABO Magazine編集部の新米記者めぇ〜ちゃんより、初めてのB Dash Camp参加レポートをお送りします。
- めぇ〜ちゃんMUGENLABO Magazine編集部
- 本誌の新米記者。事業共創やオープンイノベーション、CVCに関する知識を勉強しながら、MUGENLABO Magazineの制作に携わる。
- めぇ〜ちゃん
- 日本のスタートアップ業界に関わるキーパーソンが一堂に集まるという、日本を代表するカンファレンス「B Dash Camp」に初めて参加しました!皆さん久々に対面で人と会う機会ということもあり、前夜祭から大勢の人が参加していて、大変賑わっていました。ライブクッキングではもつ鍋や博多ラーメンなど福岡グルメがたくさん!まさにスタートアップ業界にとっての大事な「お祭」なんですね。様々なコンテンツがありましたが、特に印象深かったパネルセッションとピッチイベントについてレポートします!
開幕挨拶をするB Dash Ventures 代表取締役社長 渡辺氏
オープニングセッション
本イベントの皮切りとして、最初のパネルセッションでは「ネット起業の成長はどこに向かうのか(2021 秋編)」というタイトルで、業界を代表する豪華な登壇者たちによるディスカッションが繰り広げられました。このメンバーが同じステージに立つなんて凄すぎます!
モデレータは、 B Dash Ventures 代表取締役社長の渡辺洋行氏が務めました。渡辺氏が投げかけます。10年前はスタートアップへの投資総額が日米で100倍ほど差があったのが、この10年では50倍にまで差を縮めた一方で、最近は世界的な資金余りからアメリカのファンドがさらに拡大、再び差を広げることになりました。このような中、今後日本のスタートアップはどのように世界と戦うべきなのでしょうか、というのが主なテーマでした。以下、私の中で特に印象に残った各々の発言をまとめてみます。
國光宏尚氏(gumi ファウンダー、Thirdverse 代表取締役 CEO ファウンダー、gumi cryptos capital マネージングパートナー)
いままで世界中のスタートアップに投資し、すでにVRから12社、仮想通貨から9社のユニコーンが生まれ、数年で多くのイグジットが出ている。日本は世界と比較して起業家のレベルもエンジニアのレベルも負けていないが、日本からユニコーンが出にくいのはマーケットの小ささのみなので、もっと始めからグローバルマーケットを前提に起業するべき。またコロナ禍でリモートワークが定着したことで、分散型の働き方が普及した。分散型の働き方をしながら、ブロックチェーンをもとにした仮想通貨(トークン)をインセンティブとして付与することで、日本に不足している資金・人材の問題は解決されると思う。
佐藤航陽氏(スペースデータ・レット 代表取締役社長、メタップス 創業者兼会長)
今事業として衛星データと3DCGを使い、現実空間をバーチャル空間として自動生成するAIを開発している中で、①仮想現実(ネットの2次元から3次元への進化)②宇宙産業(衛星や宇宙データの活用)③SDGsの3つの領域について世界的に期待が高まっていることを感じるが、日本は投資額においても人材においても米国から遅れを取っており、どう足掻いても巻き返しが困難な状況になっているため、資金や人材などのリソースを持たざる国として、戦い方を変えるべきだと考えている。例えば今の事業で関わる人たちとは、まだ会ったことも顔を見たこともない。従来は良いポジションやキャリアの方々に覚悟をもってコストをかけて入ってきてもらっていたが、今は本業のための勉強として入ってくる人もおり、今後は給料を仮想通貨のトークンという形で渡す時代になるかもしれない。
家入一真氏(CAMPFIRE 代表取締役社長)
グローバルで戦うことを視野に入れるのは大切なことだが、技術で負けないようにする必要もある。また起業後に事業がうまくいかなかった場合の受け皿として、民間のプラットフォームをどう作るかも考えるべき。従来の金融機関に依存せざるを得ないモデルではなく、個人が助け合うコミュニティをレイヤーとして作ることで、こぼれ落ちる人達を拾うことができると思う。
辻庸介氏(マネーフォワード 代表取締役社長 CEO)
従来のシリコンバレーの流儀に従うのではなく、日本独自の新しいルールを作っていく必要がある。今までのルールに従っているようでは勝てないので、どのようなルールをどうすれば作れるか、自分でも考えている。
- めぇ〜ちゃん
- アメリカを追いかけるだけでなく、日本には日本ならではのスタートアップエコシステムとカルチャーがあるはずで、それを次の10年でもっと突き詰めて皆さんで作っていけると良いですよね!
ピッチコンペティション「Pitch Arena」
何といってもB Dash Campの目玉は、次世代を担う有力スタートアップたちによるピッチイベントです。書類審査を通過した18社のスタートアップがDAY1にピッチを行い、そこから6社がファイナリストとしてDAY2のファイナルラウンドに登壇しました。ファイナルラウンドの審査員は以下5名、このメンバーもまた凄い!
守安功氏(元株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役社長、タイミー取締役 COO)
中村利江氏(日本M&Aセンター 専務執行役員)
里見治紀氏(セガサミーホールディングス 代表取締役社長グループCEO)
武田純人氏(野村證券 産業戦略開発部 エグゼクティブ・ディレクター)
渡辺洋行氏(B Dash Ventures 代表取締役社長)
どれも素晴らしいピッチばかりで目が回りましたが、熾烈な戦いを経て優勝したのは、不動産管理のシェアリングプラットフォームの「COSOJI」を開発・運営するRsmile社でした。ユーザーである不動産の所有者や管理運営者が、「安く」・「早く」・「適切」に、スマホ一つで不動産管理をすることができるのがサービスの特徴です。
優勝したRsmile社によるピッチの様子
Special Award(準優勝)・野村賞(スポンサー賞)を受賞したのは、運送事業者の運行管理業務をDXするSaaSの「アセンド・ロジ」の開発・運営するascend社です。手作業・アナログで行われている運送事業者のスケジュール管理業務をデジタル化することで一元集約し、運送業者の売上に直結する荷物、ルートなどの物流データが可視化できるのがサービスの特徴です。
ノバセル賞(スポンサー賞)を受賞したのは、宿泊施設の基幹運営システムaiPassを提供するCUICIN社です。B Dash Venturesの渡辺さんが思わず「プレゼン上手いですね!」といってしまうほどにピッチが上手でした。非接触型スマートチェックイン機能をベースに「業務効率化」や「接客支援」などのプラグイン機能をカスタマイズして利用できるのがaiPassの特徴です。
その他ファイナルラウンド進出スタートアップは以下の通りでした。
GiverLink:ICTツールを探す介護職員とベンダーをマッチングするバーティカルメディア「介護のコミミ」を提供
PartnerSuccess:パートナー販売チャネルの売上を最大化するパートナー管理クラウド「PartnerSuccess」を開発・運営
Pricing Studio:顧客の支払い意欲を分析・可視化し、最適な価格戦略の構築を支援する「Pricing Sprint」を開発・運営
- めぇ〜ちゃん
- いやー初めてのB Dash Camp本当に他にも内容の濃い様々なセッションがあって全部をお伝えしきれないのが残念ですが、それ以上に日本のスタートアップ業界を率いるあの人もあの人も参加していて、VC・スタートアップ・事業会社のキーパーソン同士が繋がるネットワーキングの機会としてとても有意義でした!今後も様々なスタートアップカンファレンスに参加してレポートしたいと思います。次回もお楽しみに!
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