
2026年04月13日
登壇57社から見えてきた技術トレンドとは?──KDDI ∞ Labo全体会登壇まとめ第1弾・生成AI・AIエージェント領域13社【2025年7月~2026年3月・保存版】
KDDI ∞ Laboで定期開催している月次全体会。今回は、2025年7月から2026年3月までにご登壇いただいたスタートアップ57社をまとめて紹介する。上期に続き生成 AI ・ LLM の実用化が一段と加速する一方で、 AI エージェントの本格始動、 DeepTech 領域の多様化、体験型エンターテインメントの台頭など、テクノロジーの社会実装がより具体化した期間となった。
目次
領域別全体傾向
登壇いただいたスタートアップ57社を領域・技術別に見ると、「生成 AI ・ AI エージェント」が最も多く13社、続いて「 AI×産業応用」が11社、「 DeepTech ・素材・宇宙」が11社、「サステナビリティ・フード・ライフスタイル」が11社、「 XR ・エンタメ・決済・モビリティ」が11社となった。
特に注目すべきは、 AI エージェント型プロダクトの台頭。LegalAgentの Word 上で動作する法務 AI エージェント、STRACTの EC 横断 AI ショッピングアプリ「PLUG」、 JAPAN AI の業務プロセスごとに配置する「AI 社員」など、汎用チャットボットから一歩進み、特定業務に深く入り込むエージェント型プロダクトが一気に増加した。
生成AI・AIエージェントの本格始動
2025年下期から2026年にかけての最大のトレンドは、 AI エージェントの実用化が本格的に始動したことである。上期に「研究から実用へ」というフェーズ転換が見られた生成 AI ・ LLM 領域は、さらにギアが上がり、業務プロセスに深く入り込んで自律的にタスクを遂行するエージェントへと進化している。
もうひとつの注目すべき潮流は「 AI ガバナンスと信頼性」。Citadel AIはハルシネーションやセキュリティ脆弱性を自動検知するガバナンスツールを提供し、 Quollio Technologies はメタデータ管理を通じてデータの信頼性を担保する。生成 AI の導入が進むほど、その品質管理や安全性確保を担うレイヤーの重要性が増している。
- 法務に特化したAI Agentを提供 – LegalAgent
- 生成AI時代の経営力を高めるAIガバナンスツール – Citadel AI
- ビジネスメタデータ運用プラットフォームを提供 – Quollio Technologies
- AIショッピングアプリ「PLUG」を開発 – STRACT
- データに潜む因果関係をノーコードで可視化 – hootfolio
- 会話型AI構築プラットフォーム – miibo
- AI開発エージェント – Jitera
- マルチモーダルAIプラットフォームを提供 – DATAFLUCT
- エッジAIプラットフォーム「Actcast」を開発 – Idein
- エンジニアプラットフォームを展開 – ファインディ
- 「AI社員」でAI変革の実現を目指す – JAPAN AI
- 音声会話型おしゃべりAI「Cotomo」を開発 – Starley

LegalAgent は、 AI-BPO と法務特化型 AI エージェント「Legal Agent」を提供するスタートアップである。 CEO の朝戸統覚氏は、主力プロダクト「Legal Agent 」について「 Word 上で契約書や各種法務書面を直接修正し、優秀なアソシエイト弁護士のように変更履歴やコメントの付与まで行える」と説明する。
法務の現場ではブラウザにテキストを貼り付けて AI を使うだけでは実務にならない。 Word ファイル上で相手方コメントを読み、最小限の差分で条文を修正し、説明コメントや返答案まで作成する必要があり、 Legal Agent はそうした実務フローそのものに入り込んで日々の契約レビューやドラフト作成を支援している。
朝戸氏は法律事務所やスタートアップ法務の現場で、法務業務が依然として人手に大きく依存していることを感じていた中で生成 AI に衝撃を受け、法務の在り方が根本的に変わることを確信して創業した。企業側の法務人材不足とスピード・品質両立のニーズに応え、 AI を法務の外側に置くのではなく、普段使っている Word の中に直接組み込むプロダクトを開発している。
今後の目標は Legal Agent を法務担当者や弁護士にとって当たり前に使う実務基盤にしていくことだ。契約書レビュー、ドラフト、コメント対応、社内審査、 M&A 関連書類の修正など多くの法務業務を効率化し、法務人材不足が深刻な企業でも少人数で高品質な法務体制を構築できる未来を目指す。
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Citadel AI は、生成 AI の入出力をユースケースに応じて高精度で自動テスト・モニタリングする「Citadel Lens」を提供するスタートアップである。
COO の松葉威人氏は「 AI の弱点や異常を自動でテスト・モニタリングするツールをエンタープライズ企業に提供しており、この技術力は国際的にも高く評価されている」と説明する。実際に国際規格の認証機関である英国規格協会( BSI )の AI 審査ツールとしても採用されている。
共同創業者の Kenny (小林裕宜氏)は米国 Google Brain (現 Google DeepMind )において、 TFX などグローバルに稼働する巨大 AI システムのインフラ構築と品質向上をリードしていた。その最前線での経験を通じて「どんなに優れた AI モデルでも、運用環境の変化によって精度が劣化したり予期せぬエラーを起こしたりする」という課題を痛感し、 AI の暴走や劣化を未然に防ぎ誰もが安心して AI を活用できるインフラをつくりたいという想いから Citadel AI を立ち上げた。
目標は、すべての企業が AI のリスクを意識することなくその恩恵を最大限に享受できる世界の実現である。金融、医療、製造、社会インフラなど、ミッションクリティカルな領域でも当たり前のように AI が活躍する未来に向けて、日本からグローバルスタンダードを発信している。
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Quollio Technologies は、国産データカタログ製品「Quollio Data Intelligence Cloud」を開発・提供するスタートアップである。 VP Corporate Marketing の阿部恵史氏がピッチに登壇した。同社は「 Connect the dots. Weave values.」を掲げ、組織内で分断されている情報や知識を繋ぎ合わせ、企業が新たな価値を創造するのを支援する。
同社が提供するサービスは2つの柱で構成されている。メタデータ管理に特化した SaaS 「 Quollio Data Intelligence Cloud」と、構想設計から運用定着、価値実現までを伴走支援するアドバイザリーサービス「Quollio INTEGRAL」。大企業のデータマネジメントにおける日本特有のサイロ課題を解決するため2021年に創業された。
今後は、人や AI 、システムをメタデータ技術によってシームレスに繋ぎ合わせる基盤を確立し、あらゆる企業が最新の AI を自然に使いこなせる環境を整えることを目指す。
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STRACTは、 EC 特化型 AI エージェントを開発するスタートアップである。代表取締役社長の伊藤輝氏は、 AI ショッピングアプリ「PLUG」を iOS/Android 向けに提供しており、累計ダウンロード250万、月間アクティブユーザー100万人が利用している。
10億件以上の商品からポイントなどを考慮した最安値で AI 横断検索できるほか、国内2,200社以上の EC サイトと提携しており、パーソナライズされたクーポンやキャッシュバックを自動で受け取りながらショッピングができるアプリである。
伊藤氏は幼少期からプログラマーで、大学時代に個人開発したアプリが大きくヒットし法人化。その後複数の事業立ち上げや上場企業への事業売却を経験した後、大きなマーケットに対しリスクを取ってスケールできる事業として PLUG を考案し、2022年にエクイティファイナンスを実施してスタートアップへと変貌した。
目標は、 PLUG によってこれまで複雑だった EC の比較検索プロセスを AI で自動化し、誰でも簡単に最も賢い購買ができる未来を実現することだ。短期的には国内流通総額2兆円を目指し、長期的にはインタフェース技術を活かした衛星通信事業の社会実装にも事業投資する構想を掲げている。
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hootfolioは、因果 AI ソリューション「causal analysis」を提供するスタートアップである。 Co-Founder & CEO の笠原健太氏は、データの中から原因と結果の関係を自動で見つけ出し、効果的な施策の立案と根拠ある意思決定を支援する分析ツールを開発する。
独自の因果 AI により効果的な施策につながる真因を特定し、マーケティングや人的資本経営において科学的な意思決定を支援。数多くの顧客から「まさに求めていたもの」と評価されている。
同社はNECの因果 AI 技術を活用した事業カーブアウトによって誕生。生成 AI の実用化が進むいま、ビジネスの意思決定にはこれまで以上に「腹落ちできる根拠」が求められている。データが集まっても「何が効いているのか」「次に何をすべきか」を説明できる手段は限られており、多くの現場ではいまだに勘と経験に頼った判断が繰り返されている。こうした意思決定の在り方を根本から変えるべく、因果 AI のリーディングカンパニーを目指す。
今後は CRM やマーケティングオートメーション、データ基盤などのプラットフォームと連携し、ユーザーが「因果分析」という言葉を意識せずとも、施策が有効な理由が根拠とともに示される世界を実現していく。
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miiboは、ノーコードで誰でも簡単に AI アプリケーションを構築できるプラットフォームを開発・運営しているスタートアップである。代表取締役 CEO の功刀雅士氏は10年以上にわたり会話型 AI の研究開発を続けてきた。生成 AI 黎明期以前より蓄積された機能群を駆使した汎用的な AI アプリ開発が行えるのが特徴で、累計で3万アカウントを突破し、日々多くの AI 活用事例が創出されている。
功刀氏は長年の研究の中で生まれたプロダクト miibo を「だれでも AI 開発者に」というコンセプトのもと開発を続ける。生成 AI のブームが到来したのと同時に多くのユーザーに利用されるようになり、ニーズの高まりを背景に企業を設立。
サブスクリプション型のビジネス展開のほか、企業のコンサルティングや開発案件にも従事しており、ノーコードプラットフォームを通じて AI 活用の民主化を推進する。
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Jiteraは、生成 AI を活用したシステム開発および AI 開発エージェントのサブスクリプション販売を展開するスタートアップである。エンタープライズ営業本部長の秋葉秀樹氏がピッチに登壇した。 AI 開発エージェント「Jitera」は、ノウハウや暗黙知を効果的に RAG へ蓄積し、 AI を活用することで開発プロセスを自動化。 SaaS/オンプレミスの両形態で提供している。
同社は CEO の栁澤氏が率いており、 AI による自動化とスキル補完で次のイノベーション時代を創ることをミッションに掲げている。既存のシステム開発が抱える非効率や属人性の課題に対して、生成 AI を活用したソリューションで解決に取り組んでいる。
DXや新規プロダクト開発のスピードを大幅に向上させ、企業のデジタル変革を加速させることを目指す。
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DATAFLUCTは、エンタープライズ企業向けに設計された統合データ AI プラットフォーム「Airlake」を提供するスタートアップである。代表取締役 CEO の久米村隼人氏は「社内外に散在する膨大なデータを収集・統合し、非構造化データを構造化する独自 AI によって、これまで分析が難しかった情報を整理可能にする」と説明。自然言語で対話しながら BI を構築できる「Airlake BI Agent」も提供しており、国内大手企業での先行導入では従来9時間かかっていたレポート作成をわずか30分に短縮する事例も生まれている。
同社は「データを商いに。」をミッションに掲げ、散在するデータの収集・統合から、独自 AI による非構造化データの構造化、データドリブンな意思決定までをワンストップで支援。「Airlake AI Models」や「Airlake AI Agents」を含む包括的なプラットフォームを構築する。
データ活用の民主化を推進し、あらゆる企業がデータと AI の力を活用してビジネスの意思決定を高度化できる世界を目指す。
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Ideinは、自社開発のエッジ AI プラットフォーム「 Actcast 」を核に、現場で取得したデータをリアルタイムに解析するスタートアップである。小売、交通、製造など幅広い分野で活用され、従来の課題解決にとどまらず新しい価値や体験を創出。技術力と実装力を兼ね備えた仕組みにより、 AI の大規模かつスピーディな社会実装を実現している。
同社は「 AI が空気のように社会に溶け込む未来」を掲げ、エッジデバイス上で AI を直接動作させることで、クラウドに依存しないリアルタイム解析を可能にする。これにより通信コストやレイテンシの課題を解消し、現場での即時判断を実現。
産業や暮らしに変革をもたらし、誰もが AI の恩恵を受けられる社会の構築を目指している。
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ファインディは、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」というビジョンを掲げ、 IT/Web エンジニア領域における個人・組織それぞれの課題解決に取り組む。 B2B マーケティング&セールス部長の末本充洋氏がピッチに登壇した。
現在は転職サービス「Findy」、フリーランスエンジニア紹介「Findy Freelance」、開発生産性 SaaS 「Findy Team+」、開発ツールレビューサイト「Findy Tools」、テックカンファレンスプラットフォーム「Findy Conference」の5サービスを展開しており、登録ユーザー数は22万人を超えている。
同社の独自技術として、 GitHub 、 GitLab 、 Jira などの開発データを解析し、チーム・個人の開発生産性を可視化・向上させるアプローチを採用している。この特許取得済みの技術により、組織のボトルネック特定を支援。末本氏は日本の豊かさ維持と世界への革新貢献という使命から事業を推進する。
国内での事業拡大に加え、 Findy Team+のインド、韓国、台湾への国際展開を加速する計画があり、「つくる人がもっと尊敬され、もっと影響力を持ち、もっと輝く世界」の実現を目指す。
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JAPAN AI は、上場テクノロジー企業ジーニーの戦略的 AI カンパニーとして、法人での生成 AI 活用を推進するスタートアップである。執行役員 CMO の飯田海道氏がピッチに登壇した。同社は AI プラットフォーム提供、オリジナル AI 開発、 AI コンサルティングの3つのソリューションを展開。まず企業の業務をヒアリングし業務フローを可視化するところから着手し、課題の発見とJAPAN AI AGENTの活用ポイントを提案・要件定義した上で AI 機能の提供・開発を行う。
ジーニーグループは延べ10,000社以上の顧客と向き合う中で日本には後世に継承すべき素晴らしい事業がたくさんあることを知る一方、多くの方々が非効率的な業務に悩んでいることも実感していた。日本の労働人口減少が進む中、日本の商習慣を学習しビジネスシーンでパートナーになる AI 開発を行うことで生産性向上という社会課題に立ち向かう。
短期的には JAPAN AI AGENT を活用した業務プロセスの一部を AI に代替し、外注費や不要なシステムのリプレイスを進め利益創出に貢献することを目指している。中長期的には AI 活用人材の育成も含む伴走支援を組み合わせ、コストカット的なネガティブな未来ではなく、今いる人材が AI でさらに輝けるような AX ( AI トランスフォーメーション)の実現に貢献したいとしている。
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Starley は、音声会話型おしゃべり AI アプリ「 Cotomo」の開発運営を行う。声・性格・アイコンなどを自由に設定して、自分好みのオリジナルキャラクターと自然なおしゃべりが楽しめるプラットフォームである。 SNS で話題となり、広告出稿なしでリリースから約9カ月で100万インストールを突破。日本を代表する声優事務所との提携や人気芸人のコラボレーションなども話題となっている。
代表の原田氏は「人類がはじめて人ではない存在と言語を使ってコミュニケーションができるようになった今、テクノロジーが人に寄り添えると信じている」と語り、日常のなかでふとした会話を楽しんだり何気ない一言に励まされたりする存在がそばにいる未来を日本から実現しようとしている。
AI とのおしゃべりが認知・心理機能にどう影響するかについて東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターと共同研究を実施しており、横須賀市との実証実験も進めている。人と人、人とコンテンツの新たな関係性を育むインタラクティブなプラットフォームとして、世界中のつながり方をアップデートすることを目指す。
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まとめ
第1弾では、生成 AI ・ AI エージェント領域の13社をご紹介した。これらの企業に共通するのは、生成 AI や LLM の技術を活用し、汎用的なチャットボットから一歩進んだ「業務に深く入り込む AI エージェント」や「ノーコードで誰もが AI を活用できるプラットフォーム」を提供している点である。法務、ショッピング、データ分析、音声コミュニケーションなど、 AI が入り込む領域は急速に広がっており、その多くがすでに実用フェーズに到達している。
次回第2弾では、 AI×産業応用領域の企業をご紹介するのでお楽しみに!
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