- インタビュー
2023年09月29日
さまざまなジャンルを「好き」で繋げる新しいSNS を展開 - artics
- artics
中辻新 - 代表
2023年9月22日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
1社目はarticsです。アート・エンタメ系など好きなものを通じて自分を表現できる感性のSNS「artics」を運営するスタートアップです。今回は、artics代表の中辻新氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃん
- 好きなものを通じて自分を表現することで、新しい友人や自分らしい作品に出会えるサービスです。
代表の中辻氏に伺いました
何をしている会社ですか?
中辻:さまざまなジャンルの「好き」でつながれる新しいSNS “artics” の開発を始めとした、様々なアーティスト・クリエイター支援事業を⾏う早稲⽥⼤学発スタートアップです。
「artics」とは、様々なジャンル(⾳楽、映画、アニメ、漫画、絵画、書籍)から⾃分の好きな作品を追加し、好みの反映された世界観を表現できるプロフィールページをつくることで、友⼈や⾃分と似ているアーティストを⾒つけ、新しい好きな作品に出会えるSNSを展開しています。IPO 数世界1位のアクセラレーター「Techstars」採択企業です。
自分を表現できる感性のSNS「artics」
なぜ会社を立ち上げたのですか?
中辻:ミッションは、表現の分配革命を起こし、21世紀のルネサンスを奮い起こす。私は日本画家の家系で生まれ、裏千家で茶人として修行するなど、日本文化に囲まれて育ちました。また2019年合唱世界大会優勝や、地上波の音楽番組出演、計4000人を動員した音楽イベントの主催・出演など、幼少期からボーカリストとして世界中で歌わせていただきました。
その中で、自分の大好きなものを追求し、表現し、誰かを喜ばせる強い生きがいを感じてきたのと同時に、自分を含め、大好きなことが見つかっても、その表現作品が適切な人に届いていないために、殆どの人がお金を稼げずに理想の人生を諦めざるを得ない現状に強い疑問を抱いてきました。
ゼロサムゲームの世界であるコンテンツ業界において最も重要なビジネスモデルは、適切なアーティストとファンが出会えるようにする、「マッチングモデル=ディスカバリーのチャネル」だと考えます。しかし既存のコンテンツ業界の、アーティストとファンのマッチングのアルゴリズムは、50年以上前に開発されたマスメディア向けの手法である「ランキング」や「トレンド」を軸に動いており、非常に非効率です。
また、SpotifyやNetflixのレコメンドアルゴリズムも同様に、売れ始めた作品はどんどんおすすめされ有名になるが、ほとんどの作品はそもそもそのアルゴリズムに乗っかれません。
その結果、例えばSpotify上では0.1%のアーティストが90%の視聴時間を占めており、ほとんどのアーティストがそもそも認知すらされていません。明確な順位がつけられない「好き嫌い」のエンタメの世界では本来ウィナーテイクオール的な現象は起こりづらく、これは「才能の問題」では片づけられないほどの偏った分配だと考えます。
同様に、我々ファンからしても、既存のアルゴリズムは、感性も好みも全く違う日本人1億2千万人が「もっとも良い」と言っている作品を提示され続けている状態で、「自分らしい好きな作品」に出会うことがとても難しいです。実際、ヒアリングでも多くのZ世代が好きなものの見つけ方に悩んでいました。
そのため私たちは、大好きな友人や自分と似ている人、好きなアーティストといった「人」から作品を知れ、人と好みを共有する喜びを感じられる機会が必要だと考えています。このように「ソーシャルによるディスカバリーの力」を業界に導入し、より多くの表現者が生きていける経済構造を創るため、articsを立ち上げました。
これからの目標はありますか?
中辻:私たちの特徴は、複数ジャンルのコンテンツに特化した唯一のSNSであるということです。音楽や映画など、好きなものでつながれるコミュニティーに対する強いニーズは、昔からずっと存在しており、MyspaceやMixiなど巨大サービスも多く生まれてきました。
しかし若者がターゲットであるSNS業界はUIUXが時代遅れになりやすく、またM&Aの失敗や創業者同士のトラブルなど、場とは関係のない経営上の問題でサービスが終わることが多かったです。その結果今の時代には、趣味でつながる代表的なサービスが存在していません。
新しい価値観を持った我々「Z世代」が台頭し、表面的なつながりによる「SNS疲れ」という言葉が増えてきた今だからこそ、若者が自分の好きなことを共有してより深く繋がれる、articsのような新しい形のコミュニティが求められていると考えます。
一方、SNS業界の面白いところは、今まで存在したほぼ全ての巨大SNSは、新しい世代の価値観を深く理解でき、同世代にリーチ出来る、若者しか作ってこれなかったという点です。
グローバル経験豊富で、平均23歳と若く、業界トップレベルの深い理解と原体験を持っている我々が、Techstarsのような経験ある大人の支援を受けられる環境にあるからこそ、「コンテンツ特化の世界的SNS」を作れる、むしろこのようなサービスは日本で私たちしか作ることができるのではないかという自信と使命感を持って日々活動しています。
また、我々が提供する本質的な価値は、「アーティストとファンとの効率的なマッチング」です。需要と共有の適切なマッチングが実現すれば市場に流れるお金は増え、必ず業界の市場規模は拡大します(例えば漫画業界は電子書籍により700億から6000億まで成⻑しました)。
より多くの人が自分らしい好きなものに出会え、アイデンティティの確立や自己肯定感の向上につながる。そして自分の好きなことで生活していける創作者の絶対数も圧倒的に増える。そんな世界を創っていくことで、必ず来たる、21世紀のルネサンスに貢献したいです。
最後に一言お願いします
中辻:我々の提供するプロダクトの本質的な価値は、似た好みを持った人同士が、そして適切なアーティストとファンが、より効率的に、楽しく出会えるようになることです。
しかし、出会った先で、ファンの方々にどのような新しいエンタテインメントの形を提供し、喜んでもらうのか。どのようにアーティストの価値を最大化し、貨幣価値に落とし込んでいくのか。といった部分では、同じ世界を目指す企業様との連携が必須になると考えています。そのような、アート・エンタテインメントの未来について、ぜひ議論をし、協力していただけたら嬉しいです。
- めぇ〜ちゃん
- 自分の好きを見つけ、共有することで体験価値を向上させる革新的なアイディアですね!それでは次回もお楽しみに!
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