- インタビュー
2023年10月24日
VTuber産業を創出、バーチャライズで世界のエンタメ産業にイノベーションを起こす - Activ8
- Activ8株式会社
大坂 武史 - 代表取締役 CEO
KDDIは、「誰にとっても、いきいきと充実感を感じて生きられる世界の”選択肢”を増やしたい」をビジョンに掲げるスタートアップActiv8株式会社へ出資したことを公表しました。
「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。今回は代表取締役 CEOの大坂武史氏にお話を伺いました。
代表取締役 CEOの大坂氏に伺いました
何をしている会社ですか?
大坂:Activ8は「生きる世界の選択肢を増やす」をミッションに、メタバースエンタテインメント事業を展開しています。Activ8は2016年にVTuberの原点となるKizuna AIを生み出し、世界で1000万を超えるファンを獲得しました。
現在はKizuna AIで手応えを感じたバーチャル音楽ライブを日本が誇る有力なIPに提供しています。あらゆるコンテンツがネット上に溢れている時代において、一期一会の体験や生きたコンテンツは相対的に価値が増加し続けています。また、ライブをはじめとする興行はデジタル化の余地が残っています。Kizuna AIが実施したhello, world2022では投げ銭やコメントをステージ演出にリアルタイムに昇華する試みをしました。
結果として4桁万円を超えるマネタイズに成功しました。また、コロナ禍においてKizuna AIはオンラインライブという形で米大手のタレントエージェンシーUTAと協力して全米ツアーを実施し海外のファンにも予想を超える来場をいただき大成功を収めました。
また、人は社会的動物なため”まつり好き”といいますが、イベントを中心に社会的な生活をしているとも言えます。推し活に関しても、推しの誕生日や新曲発表、ライブ決定!など連続的なイベントによって成り立っていると言えます。そんな特別な日=ハレの日にファンも消費活動を集中させるといった傾向にあるため、Activ8にとって興行はビジネス的にも合理性があり、デジタル化=バーチャライズの余地も多分にある魅力的な領域と捉えています。
私たちのメタバースエンタテインメント事業は世界で人気のIPにバーチャル音楽ライブを提供しています。たとえばVTuberグループ「ホロライブ」メンバーのライブ制作や、ONE PIECE FIRM REDウタの日本武道館で実施されたワールドプレミアや紅白歌合戦などのライブ制作など「ハレの日」に特化してバーチャルコンテンツの企画制作・ビジネス提供をしています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
大坂:「生きる世界の選択肢を増やしたい」と考えたからです。まずは、自身が生まれ育ち、今も世界を魅了し続けている日本という「生きる世界」を守りたいという思いが根底にあります。
元々自分の特性を考えると起業というスタイルがもっとも社会に適合できそうだと思っていましたが、どのような領域で起業するかに関しては、日本で生活する人や文化、生活、そのための経済を守りつつ、縮小する内需を見据えてかつてのエレクトロニクスや自動車産業のように世界を席巻するような分野で、という漠然とした思いがありました。
そんな中で、2015年に外資系のコンテンツスタジオに日本人初の社員という形で入社したことがきっかけでエンタメ業界に出会いました。私以外全員外国人という環境の中で中国やアメリカの同僚から日本のアニメ作品やゲーム、クリエイターに対しての深い愛やリスペクトを肌で感じました。これほどまでに諸外国からリスペクトされる分野が日本にあるのだと実感し、起業するならこの分野以外にないと後に起業する際のきっかけになりました。
2016年の起業当時はYouTubeが「好きなことで生きていく」キャンペーンを始めたあたりで、さらにはVR元年(その後何年も続くと思いませんでしたが)と業界でも大きなパラダイムシフトを感じるタイミングでもあり、それらがバーチャルYouTuber Kizuna AIプロジェクトのコンセプトにも影響しています。
Kizuna AIプロジェクト推進のために法人格が必要となったこともあり、次世代メディア・先端技術の活用、それを踏まえたビジネスモデル革新、また世界展開のポテンシャルを革新し、Activ8を立ち上げに踏み切りました。
これからの目標はありますか?
大坂:まずは、日本が世界に誇るIPをバーチャルコンテンツ・ビジネスに対応させて展開可能なメディアやビジネスの拡張をはかります。これらをActiv8ではIPをバーチャライズする、と言っています。その中でも推し活の要点となるハレの日に着目し、まずはハレの日の体験としてKizuna AIで培った3DCGやリアルタイムアニメの生成技術を最大限活用したバーチャル音楽ライブやミュージカルといった興行ビジネスを仕掛けていきます。
エンターテインメントというものは、常に人間の社会と共にあります。しかし、その形は時代と共に常に変化しています。テクノロジーも同様に、人々の生活に合わせて変化を続けてきました。
Activ8は、変化し続けるこれらの要素を掛け合わせ、常に新しく、人々の心を掴むエンターテインメントを提供し続けていきたいと考えています。
その先で、メタバースが人々の生きる世界として確立させ、人々の生きる世界の選択肢を増やすことに貢献していきたいです。
KDDIからの出資を通して期待していることはありますか?
大坂:αUは次世代のメディアでありコンテンツインフラです。Activ8が取り組むIPのバーチャライズはまさにαUが提供を目指しているプラットフォームに最適なコンテンツフォーマットになります。αUライブ・αUメタバースといったプラットフォームはバーチャライズIPの活躍の場となると期待しています。Activ8としては、メタバース・Web3プラットフォーム「αU(アルファユー)」を活用し、ユーザーにより楽しんでいただけるエンターテインメント体験を届けることに期待しています。それは結果的に日本のIPを拡張する場の拡大を意味するからです。
我々は創業当初からグローバルに通用するビジネスの展開を目指してきたため、KDDI社と共に、日本のIPやクリエイターとその目標を目指せることにワクワクしています。
最後に一言お願いします
大坂:メタバースエンターテインメント事業というと、既存のIPを持ちエンタメ業界にいる企業のみが協業対象と思われてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。
先端技術を活用した新しいエンターテインメント体験の創出、企業・団体の理念を表現するようなIPやコンテンツの創出など、それぞれの企業が持つ特色を活かした価値創出を目指したいと考えています。日本が誇るIPおよびクリエイター資産をDX(バーチャライズ)し、日本を世界に誇るデジタルエンタメ都市国家にするという構想のもと実際に地方自治体との取り組みも始めています。横文字も多く、推し活などエンタメ業界にいてもわかりづらい分野でもあるので、少しでも気になった方はお気軽にご連絡ください。一緒に世界を目指しましょう!