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2023年09月27日

アーティストとファンを結ぶSNSから著名人AIボット化サービスまで6社登壇ご紹介/KDDI ∞ Labo9月全体会レポート

KDDI ∞ Laboでは毎月、オープンイノベーションに関わる∞Laboパートナーとスタートアップの共創をサポートする全体会を開催しています。9月に開催した会では、パートナーとして参加いただいている83社の方々と、スタートアップ6社が協業や出資などのきっかけを求めてSME六番町ビル多目的スペース「OnSite」の会場に集まりました。本稿では登壇した6社のピッチステージの内容をお送りいたします。


めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
今月は、SME六番町ビルの多目的スペース「OnSite」で開催されました。登壇していただいたスタートアップをご紹介します。

さまざまなジャンルの「好き」でつながるSNS「artics」

中辻新さん

articsは「表現の分配革命を起こし、21世紀のルネサンスを奮い起こす」というビジョンを掲げて活動しています。代表の中辻新さんは早稲田大学の4年生で、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」に選出されています。中辻さんは幼い頃から音楽が好きで、世界中のステージでパフォーマンスを披露。 2019年にはボーカリストとしてとして、合唱世界大会で優勝した実績もあります。

周囲にアーティストが多い中辻さんは、社会が物質的に発展したにもかかわらず、自身の好きなことで食べていくことができず、理想の人生を諦めなければならないアーティストが多いことに疑問を感じていたといいます。中辻さんはアーティストが生計を立てることが難しい本質的な原因は、可処分時間の限界にあると考えました。

自分が好きな作品と出会えるSNS「artics」

中辻さんは解決策として、アーティストとファンを効率的にマッチングすることが重要だと考え、自分が本当に好きな作品と出会えるSNS「artics」を開発しました。「artics」は好きなものを共有し語り合えるコミュニティプラットフォームの役割を果たします。友人のレコメンドにより、映画や音楽、アニメ、マンガ、小説などさまざまな作品に出会うことも可能です。

また好みの作品を追加すればするほど、同じ作品が好きな人とつながれます。さらにアプリ上で出会った作品が「artics board」に蓄積されることで、自分の感性や世界観を一目で表現できる「ジブン美術館」とすることが可能です。

「articsは最初からグローバルを目指しているため、創業メンバーにはアメリカ在住の日本人やシリコンバレーで活躍したエンジニアも含まれている。Uber Technologiesなどを輩出したIPO数世界1位のアクセラレーターtechstarsにも採択された。今後は、アーティストとの連携も強化し、アプリ開発を加速したい。」

代表 中辻氏

7月1日のローンチ後、広告やマーケティング施策を実施していないにもかかわらず、自然流入で2000人以上のユーザーを獲得しました。日本だけでなくアメリカやオーストラリアでも利用されています。「artics」の競合優位性は市場で唯一、ジャンルを横断したコンテンツ特化型のSNSであることです。

好きなものを通じてつながるSNSはこれまでも存在しましたが、若者をターゲットにしたUI/UXが原因で、流行り廃りが激しい特徴がありました。そのため同ジャンルで普及しているSNSはないといいます。

縦型動画に特化し企業やクリエイターの課題を解決するOASIZ

江藤優さん

OASIZはZ世代のメンバーを中心に縦型動画に特化した事業を展開するスタートアップです。CEOの江藤優さんは、TikTokを運営するByteDanceでクリエイターのマネジメントを手掛けており、そこで出会ったSNS総フォロワー約200万人のRyuTricksさんとOASIZを起業しました。

OASIZのビジョンは、クリエイターの社会価値を高めることです。そのためには企業とクリエイターの在り方を変える必要があるといいます。クリエイターの悩みは大きく分けて4つあります。資金、キャリア、信用、情報です。

たとえば、資金面では固定給がないことや信用面では実績を作りにくいこと、情報面では知識不足により搾取されてしまうことなどの課題があります。これらの課題を解決するのが「OASIZ Community」です。

「OASIZ Community」は高単価案件やクリエイターと大企業が連携する際のプロジェクトサポート、地方自治体とのコラボ推進、ビジネスリテラシー向上のための勉強会などのサービスを提供しています。最終的な目標は、クリエイターをプラットフォームに依存することなく、マネタイズできる状態にすることです。

OASIZ Be Creative.

OASIZはコミュニティ以外にもクリエイティブ事業「OASIZ Creative」を展開しています。「OASIZ Creative」では、TikTokのアカウント運用やインフルエンサーマーケティング、広告制作など、縦型動画に特化したサービスを提供しています。

「企業の認知向上や商品プロモーション、IPの強化などをトレンドの縦型動画を用いてサポートする。縦型動画をプロダクトの強みを最大化する最高のツールにしていきたい。」

CEO 江藤氏

OASIZの強みは縦型動画SNSのアルゴリズムに関する知見が豊富なことや、実績のあるトップクリエイターが多数在籍していることです。主な実績としては、某スポーツ代表チームの公式TikTokアカウントの運用が挙げられます。同アカウントは運用開始5か月でスポーツ系アカウントのフォロワー数で日本一になり、1年で総再生回数が約2.5億回に達しました。

IPや著名人とコラボしてAIチャットサービスを開発するSpiral.AI

Zhou Han(周涵)さん

Spiral.AIは2023年3月に創業した生成AI領域で事業を展開するスタートアップです。主にChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)技術に特化しています。現在、生成AIは業務効率化や社内情報の整理を目的として企業に導入されるケースが多く見受けられます。

しかし、Spiral.AIは業務改善以外にも、生成AIを活用する道があるのではないかという問いから事業を開始しました。また、生成AIに対して正確さを追求するトレンドの中で、よりワクワクした使い道を提案していきたいといいます。そこでSpiral.AIが展開するのが「AIキャラクター事業」です。

同事業の特徴は3つあります。1つ目は会話を楽しむことにフォーカスし、キャラクター性を持ったAIと対話できるプロダクトの開発。2つ目はテキストに加えて音声や画像も交えた自然なコミュニケーションの実現。3つ目がユーザーの好みや思考にあわせた利用体験の提供です。

真島なおみさん事務所公認のAIチャット

Spiral.AIが着目するのは「推し活」マーケットです。従来の推し活は1対Nの方式で、パーソナライズされた体験は存在しませんでした。そこでSpiral.AIは1対1のコミュニケーションを推し活市場に提供していきます。ピッチ当日には10月から、タレントの真島なおみさんとコラボして、事務所公認のAIチャットサービスを発表しました。

Spiral.AIのAIチャットサービスは、LLMを活用し、タレントの個性を表現したり、テキストに加えて音声でのコミュニケーションを実現したりします。また、ユーザーとの対話が記憶としてAIチャットの中に保持され、記憶を踏まえたコミュニケーションができる機能も実装されています。会場で披露されたデモでは、人間らしい自然な発話によるスムーズなやり取りが見られました。

「来年の早いタイミングで、著名人だけではなく、一般のライブ配信者も簡単にAIキャラクターを生成できるプラットフォームに進化していきたい。また、教育や物販などエンタメ領域以外への拡大も見据えている。」

ビジネス統括ディレクター Zhou Han氏

10月にローンチされる第一弾と並行して、複数の芸能事務所やIPホルダーとの開発も進められているそうです。

海外を拠点に音楽業界のグローバルDXを推進するグリッジ

籔井健一さん

グリッジは音楽業界のグローバルDX事業を推進しています。代表取締役の籔井健一さんはベトナムのホーチミンからオンラインで登壇しました。音楽業界はラジオやCD、ポータブルオーディオプレイヤー、スマホ、サブスクなどのイノベーションがもたらされるたびに、大きく変化してきました。現代における音楽は、SNSの普及により聴くものから使われるものに変わりつつあります。

そうした状況のなか、日本の音楽業界には3つの課題があるといいます。少子高齢化とDXの遅れ、グローバルに展開できていないことです。原因として国内外で活躍する人材が不足していることを挙げました。その解決策としてグリッジが提供するのが音楽のグローバルDXにより、外貨を獲得していくサービスです。

経団連は2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を20兆円にする目標を掲げています。これにあわせてグリッジは、海外でのデジタルマーケティング、海外KOLバンク、オフラインでの海外進出支援の3つのサポートを展開中です。日本有数のレコード会社と連携し、国内トップクラスの音楽IPを海外に届けているそうです。

Gridge Inc

グリッジの最大の特徴は、世界各国に点在する日本のIPやカルチャーが好きなクリエイター100人と連携していることです。彼らはデジタルマーケティングのスキルも有しているため、日本発ではなく現地発の事業展開を可能とします。

「ASEANでの展開に強みがある。人口やマーケット規模が成長軌道にあるインドネシアやホーチミンなどに支店を設置し、現地のデジタルマーケ人材を獲得している。ただ、日本のIPやカルチャーはASEANに限らず世界中で高い人気があるため、世界各国のマーケットに対してアプローチしていきたい。」

代表取締役 薮井氏

ビジネスモデルは業界初の外貨獲得モデルを採用しています。具体的には、国内企業から月額および単発で収益を獲得しつつ、海外でオンラインとオフラインのビジネスを構築し、獲得した外貨を分配するというものです。

新型コロナウイルスの沈静化に伴い、海外展開のニーズが加速しており、それとともに、グリッジの事業も成長を続けているそうです。

コミュニティ運営に必要な全機能搭載プラットフォーム「OSIRO」

杉山博一さん

「従来は企業やブランドが、イベントやキャンペーンを実施しても、一時的な盛り上がりにしかつながらなかった。しかし、熱量が高いファンどうしが交流する場を提供することで、その盛り上がりを持続的なものにしていくことができる。」

代表取締役社長 杉山氏

コミュニティ運営に必要な全機能搭載プラットフォーム「OSIRO」

OSIROはブランド専用のクローズドなSNSの中で、質の高いファンどうしがつながれるサービスを提供しています。一般的にコミュニティは、無料のツールで誰でも作ることができます。しかし、コミュニティ開設前に重要となる設計はないがしろにされがちです。そのためOSIROはコミュニティの設計段階からサポートしています。

また無料のコミュニティツールではできない機能を備えています。具体的には、ブログやチャット、イベント、独自通貨、ECなど、コミュニティ運営に欠かせないものばかりです。これらのツールをどのように活用すればコミュニティの効果を最大化できるのかについて、設計段階からコミュニティ開設後まで伴走支援していきます。さらに、AIによるコミュニティマネジメント機能も搭載することで、運営の手間を最小限に抑えています。

世界三大映画祭ノミネート作品を輩出するのXR映画プロダクションCinemaLeap

大橋哲也さん

CinemaLeapは、ストーリーテリングを強みに、世界に挑戦するXRコンテンツプロダクションです。XR映画に特化して製作や配給、XR映画祭の運営などを手掛けています。メンバーは多国籍で、映画業界での経験が豊富なプロデューサーや、世界の芸術祭で受賞歴のあるクリエイターが揃っています。

XR映画の特徴は、VRやMRのゴーグルを活用して映像の世界に入り込み、キャラクターと双方向で交流したり、物語の世界を探索したりできることです。また、XR技術にAIやゲーム要素などが掛け合わせられており、今までにない新しいストーリー体験が可能です。世界最高峰のベネチア国際映画祭には、XR技術を用いた作品が年間1000作品ほど寄せられているそうです。

世界のXR映画市場は着実に成長を遂げています。具体的にはXRコンテンツを製作するプロダクションやXR映画の配給会社、XR映画祭やXR映画の配信プラットフォームを運営する事業会社などが、資金調達を実施しながら拡大している状況です。またXR映画の成功事例として、宇宙をテーマにしたVRドキュメンタリー作品『Spheres』の版権が、100万ドル以上で落札され話題になったことが挙げられます。

「SEN」Image credit: CinemaLeap, Psychic VR Lab

また、CinemaLeapは、XR映画製作や海外映画祭へのグローバルな作品配給、またXR技術の強みを生かした企業や自治体向けのコンテンツ製作も手掛けています。CinemaLeapLeapの強みは、日本を代表するXR国際映画祭「Beyond the Frame Festival」を主催していることです。これによりXRクリエイターとの豊富なネットワーク構築や作品のグローバル展開が可能となります。

「観光地のプロモーションや、トレンドになっている大規模なロケーションを活用したXR体験の創出などにも取り組んでいきたい」

代表取締役 大橋氏

実績として、製作した7作品のXR映画のうち6作品が世界三大映画祭にノミネートされていたり、KDDIやSONYを含む大手企業からの引き合いが増加したりしているそうです。

めぇ〜ちゃんめぇ〜ちゃん
各社のインタビュー記事もお楽しみに!

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