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2023年07月26日
従業員の更年期に予防医療などウェルビーイングな7社登壇ーーKDDI ∞ Labo7月の全体会ご紹介
KDDI ∞ Laboでは毎月、オープンイノベーションに関わる∞Laboパートナーとスタートアップの共創をサポートする全体会を開催しています。7月に開催した会では、パートナーとして参加いただいている82社の方々と、スタートアップ7社が協業や出資などのきっかけを求めて都内に集まりました。
今回のテーマは「ウェルビーイング」。人生100年時代と言われる現代において、積極的な健康増進や予防医療などをテーマにする保険「Vitality」を提供する住友生命様に、移転したばかりの会場をお借りして開催いたしました。本稿では登壇した7社のピッチステージの内容をお送りいたします。
- めぇ〜ちゃん
- 八重洲セントラルタワーに行ってきました!以下にてご登壇スタートアップをご紹介します!
会場の様子
企業従業員の「健康リスク」を数値化、プロ産業医による健康経営クラウド「Dr.CHECK」ーーリバランス
登壇時の様子
プロ産業医による健康経営クラウドサービス「Dr.CHECK」を中心に、産業医・保健師派遣・健康経営コンサルティングなどを提供するのがリバランスです。
創業者で代表を務める池井佑丞氏は元々、病院勤務の医師でその後に産業医の道を選んだ人物。現在は日立グループ企業の全国300社営業所を統括する産業医として在任されています。Dr.CHECKは同社独自のアルゴリズムを用いたリスク判定システムと産業医・保健師チームによる予防医療サービスで、利用従業員の健康リスクを数値化することで産業医の関わる箇所を最大限に削減し、コストを落としているのが特徴です。
企業から健康に関するデータを受け取り、分析して出てきたリスクに関してチームがオンライン診療などを使って解決に導くアプローチをとっており、スタンダードなプランとして月額1名あたり330円で提供されています。 なお健康診断調査(サーベイ)の回数ですが、推奨の頻度として3カ月に1回とし、年一回のストレスチェックを入れ替えるような運用を求めているとのことでした。 このサービスは池井医師の過去の経験がきっかけになっているそうです。
池井も産業医になった当初、1,000名の従業員さんを担当したんですけれども、もう既に保管されていた健康診断の結果を見たところ、150名が治療が必要だということがわかりました。そして病院に行ってもらったところ、15名がそのまま入院の診断を受けたといったちょっとショッキングな出来事がありました。これというのも、やはり企業においても、二次検診に行ってくださいと言われていく人が1割に満たないという現実があります。
営業責任者 菊川氏
こういった未病のリスクを放置すると結果として企業経営にも影を落とすことになります。一方、産業医は登録件数こそ10万人近くあるものの、実際に稼働しているのは2,000名程度らしいのです。そこでリバランスではこの部分を効率化するサービスとしてDr.CHECKを提供しているとのことでした。同様のサービスにはヘルスケアテクノロジーズが提供するHELPOなどがあります。
企業の防災備蓄を共同保管して調達コスト削減「あんしんストック」ーーLaspy
登壇時の様子
防災備蓄を共同保管するというコンセプトのプラットフォーム「あんしんストック」を展開するのが2021年に創業したLaspyです。
企業やマンションなどの法人・団体に対して、防災備蓄の保管・管理・提供を一括で行うサービスを提供しています。 企業には自治体によって一般的に1人あたり3日から1週間程度の防災備蓄を保有する努力義務が求められているのですが、企業の規模によってはかなりのリソースを消費することになります。スペースと管理の手間、そして賞味期限がやってきた時期には入れ替えの必要もあります。さらに大手企業では、これらの備蓄が全国の多くの拠点に分散しており、総務部門の手を煩わせているのです。この点に注目したのが同社です。
あんしんストックでは全国に展開する保管施設で防災備蓄品を保管し、災害時には最寄りの保管施設からスマートロックを使って取り出すことができるようになっています。またこれらの防災備蓄は、Laspyが定期的に点検・補充・交換を行い、賞味期限や在庫状況などは、専用の管理画面で確認できるようになっています。
なお、交換した商品は食品ロス削減のためにフードバンクや福祉施設などに寄付されるそうです。補充については災害が発生して消費した際に補充する方法と、事前に補充交換を実施する方法が選べるようになっているとのことでした。
現在は全国にビルを保有する大手生命保険会社と提携し、数千のテナントに対してあんしんストックの機能を提供するなど、マンションの住民向けに防災備蓄を備えるような導入を進めるほか、サービス自体を不動産企業にOEMするような展開をしているそうです。
スマホで健康ログを収集「パシャっとカルテ」そのメリットとはーーArteryex
登壇時の様子
医療情報を活用して予防医療に役立てようというのがPHR(Personal Health Record)というカテゴリのサービスです。唾液サンプルを送ることで自分の遺伝子情報を知ることができる23andMeや、がん患者の医療記録や治療結果を集めて分析するFlatiron Health、オンライン予約やビデオ診療など総合的な予防医療のOne Medicalなど、評価額にして10億ドル以上のユニコーン企業なども存在する過密地帯です。
エーザイ子会社Arteryexのアプリ「パシャっとカルテ」もその一つで、ユーザーは健康診断結果や検査結果、お薬手帳などの情報をスマホで撮影するだけで、それらのデータが自動的にアプリ上で一元管理されるというものです。開発のきっかけになっているのが個人の健康情報の管理問題です。個人の医療情報は受診した医療機関やウェアラブルデバイスなどに分散しており、一元管理が難しくなりつつある、という課題があります。
「病院に行ったときのデータが例えば大きな病院であれば現在国が進めている次世代医療基盤法(2018年施行)に則ったデータの持ち方がある一方、地方のクリニックさんではそんな管理はされていない(ケースもある)」。 PHRのコンセプトでもある、個人の医療情報をセルフで記録し、これを一元管理に役立てることでこういった健康・医療情報の偏在化を防ごう、というのが彼らの考え方です。健康ログを取得することによる効果を次のようにお話されていました。
自分の過去10年分の健康診断データとかをグラフで見られるとか、自分の今の状況が過去と比べてどうなのかっていうところに便益を感じてくださっているというお声をよくいただきます。例えば今の自分の状況やどのようなお薬を飲んでいたという情報を他の病院に移ったときにお医者さんに説明できるんです。
パシャっとカルテ事業部 事業部長 小野澤氏
今後はのような医療データを元にした製薬など、予防医療に対するサービスなどを検討したいとお話されていました。
営業はセンスじゃなくて定着、営業トークを「解いて記憶する」Monoxerーーモノグサ
登壇時の様子
2016年に設立された記憶のプラットフォーム「Monoxer」を提供するのがモノグサです。
大手学習塾を中心に生徒一人ひとりにあった「覚える」ための学習支援ツールを提供しており、英単語や漢字などの記憶対象を問題形式で出題し、AIが生徒の回答状況や記憶曲線に応じて最適な出題タイミングや難易度を調整してくれます。
サービス開始から約5年で5,000箇所の塾で利用されているそうです。 このモノグサが昨年から取り組んでいるのが営業領域での「営業トーク記憶支援」事業です。いわゆるSFA(Sales Force Automation・営業支援)の領域で資格取得や研修ビジネスは盛んですが、モノグサでは記憶するという同社のコンセプトにあった「記憶に残る営業トーク」の定着を支援しようとしています。
営業領域ではおそらくSFAツールなどいろいろなものがありますし、例えばKPIマネジメントもされていると思いますし、トレーニングインプットの研修もあるかなと。一方、同じインプットがあったのにその結果にはどうして差が出るんでしょう?私どもは定着と、つまり自学自習の部分に要員があるのではないかと考えております。
代表取締役CEO 竹内氏
営業はセンスではなく定着にあるーー。プレゼンに立った代表の竹内孝太朗さんは「鼓膜を揺らす」という表現を使い、営業にはトークスクリプトの記憶・定着が重要と語ります。
トークって意外に覚えられていないなと思っておりまして、いくつか理由があるかなと思っております。まず第1にですね、トークを覚えるのは大変なんですね。ウェブ画面をずっと睨んで見ている方や印刷して蛍光ペンで線を引くなどですね、大変ですよね。
さらに覚えたのかどうかって、みなさまもわからないし本人もわからないということで可視化がしにくい。そして最終的には、ある日に向かって覚えていないといけないので、継続する必要があるんですが、大人は忙しいのでいつ学習するんだというところもですね、苦しいかなと思っております。
代表取締役CEO 竹内氏
Monoxerの特徴は設問を各社で独自に作ることができるのですが、常に「解いて覚える」というプロセスを取っていることで、記憶の定着と可視化を実現している点です。学習計画機能があり、この日に覚えるという期日を決めると、その日までの毎日の計画をタイミングも含めて決めてくれるようになっています。
また設問の作り方についても独自の営業検定を用意しており、トークを覚えることでどのスキルを育成するかというものを準備されているそうです。このようなプログラムにより、例えば竹内さんの説明では1日5分から10分程度やるだけで、2カ月後に営業トークがきっちり備わっているといったようなことを実現できるというお話でした。
ランニングで健康増進、SNSで生涯スポーツを支えるーーラントリップ
登壇時の様子
ランナー向けSNS「Runtrip」を展開するのが2015年創業のラントリップです。
ランやバイクなどを楽しむ人を対象にしたスポーツ・フィットネスサービスは数多く、RunkeeperやStrava、Runtasticなどがグローバルで愛用者を増やしている人気のサービス領域です。同社を創業した大森英一郎さんは元箱根ランナー。一時期はもう走るのが嫌だとランニングから離れていたのですが、ふとしたきっかけで生涯スポーツとしての新たな魅力を再発見します。
それまで感じていたタイムや順位、距離など、いわゆる数字だけがランニングの全てではなくて、むしろ体を動かす行為そのものが自分の人生を豊かにしてくれて、その先に健康になれるという何物にも代えがたいものが得られるという素晴らしさを感じました。 現在、コロナの影響もあり日本のランナー人口は1000万人を超えており、世界的にもすごく安定して増えているという状況です。
ですが、まだまだランニングに対して苦手意識を持ってらっしゃる方も多くいらっしゃるかと思います。そうした方たちに対して走ることの楽しさというものを提供して、誰もが生涯スポーツとしての運動機会を得られるように、そんな世界を目指していきたいと思っています。
代表取締役 大森氏
同社はアプリを中心にウェブやイベント、ECなどを展開しており、「年間400万人ぐらいのランナーの方に少なくとも年に1回ぐらい接点を持てる」規模にまで成長しているそうです。 そのラントリップが今、注目しているのが健康への貢献です。大森さんによると、この1年間でラントリップアプリの中での運動(歩数ベースの換算)が増えてきており、同社の独自の医療費抑制効果という観点で昨対比で15倍ぐらい伸びているとのことでした。
今後は企業や地域と連携して、地域住民の健康増進や地域の回遊性向上、企業顧客に対するウェルネスサービスの提供なども一緒に考えていきたいと語っておられました。
自分で考えて行動する力を身につけるデジタル教材開発「ENAGEED」ーーエナジード
登壇時の様子
教育や企業研修コンテンツの開発・販売を手掛けるのが2012年創業のエナジードです。
学校教育の現場で大きく変化しているのが入試一辺倒だった時代からの脱却ではないでしょうか。大学に入ることから「大学に入ってから何を学ぶのか」を考える傾向になり、総合型選抜や学校推薦型選抜への対応策が求められるようになってきました。このテーマに注目した教材開発を手掛けるのが同社です。
自分で考えて行動するってどういうことなんだろう。我々は学校教育の方では探究とか総合学習、企業様の中においても人的資本経営の高まりの中で、自立性とか、能動性エンゲージメントを高めるために、自分自身で行動することによって得られるもの、そういったものがすごく広がってきていると考えております。
取締役COO 下永田氏
同社のプロダクトは新学習指導要領に対応した探究テーマや探究プロセスのガイドライン、評価方法などが用意されたデジタル教材の「ENAGEED CORE」を中心に、結果をシェアできるソーシャル機能と評価ができる仕組みを提供しています。そしてこれを企業向けに提供したのがENAGEED for Bizです。
今、我々がご支援している企業様で一番多い層は管理職一歩手前、リーダー層の方々が大体全体の4割ぐらいになっております。その次が若手でここはマインドチェンジっていうイメージなんですけども、そのレベルを引き上げることによって、会社のプラスの影響力ってのが大きい観点から、そういった次世代リーダーの方々が中心なっているのかなと。基本的に4回、1回学んだ後に1カ月ぐらい実践していただき、また学んで実践となりますので、半年程度のご支援となります。
取締役COO 下永田氏
これまでに累計で800の学校と120の企業が導入しているとのことでした。
更年期や性の悩みをLINEチャットで解決ーーTruly
登壇時の様子
ホルモンの変化による更年期や性の悩みなど男女の課題に取り組むフェムテックスタートアップがTrulyです。
2019年、博報堂出身の女性起業家、二宮未摩子さんが立ちあげました。 主に女性向けの更年期、性やパートナーシップについての情報を取り扱うウェブメディアや企業向けの「TRULY for Business」などを展開されています。取り扱う情報については、丸の内で開業している産婦人科専門医で医学博士宋美玄(ソン・ミヒョン)医師らが監修にあたっています。
2019年に創業したスタートアップ企業で事業領域としては大きく三つあります。ひとつが更年期の正しい情報を届ける公式メディアサイトの運営で、更年期に特化したメディアとしては、製薬会社様のメディアに続いてアクセス数を伸ばしております。そして更年期に限らず、男性更年期やパートナーシップ制度の闇といった幅広いコンテンツをお届けしているのが特徴です。
二つ目は、デリケートな悩みの更年期や生理やPMSなどに関する不安を相談できるチャット相談サービスです。こちらは現在従業員の福利厚生サービスとして主に企業様に展開させていただいておりまして、eラーニングや研修などのセミナーも行わせていただいております。
そして三つ目になりますが、更年期の良い商品やサービスを作り届けるというマーケティングサポートも行わせていただいております。この3年間で約40社以上の企業様とさまざまなお取り組みをさせていただいております。
代表取締役CEO 二宮氏
30代以降から50代後半にかけてやってくるのが更年期です。二宮さんは「高齢化社会かつ、女性活躍と言われる中では4,000万人以上といったような人口ボリュームがあります。また、市場規模としても世界市場で350億ドル(約4兆円)といったようなところで、実はホルモン療法の領域がすごく大きく拡大している」と語るように、更年期の問題を抱える対象人口は幅広く、かつ、女性だけでなく男性にもこの課題があることはあまり知られていません。
日本はまだまだ300億円市場というところで小さくとどまっていて、やはりホルモン療法が浸透していないということや、まだまだ潜在的な課題として扱われているというところが原因かなと思っています。
代表取締役CEO 二宮氏
同社では現在、小林製薬と共同で女性のデリケートケア商品にチャット相談を付帯させるようなコラボレーションの取り組みを提供するなど、企業との連携を進めているというお話でした。
新企画ーーMUGENLABO MONTHLY STAGE
ディスカッションの様子
普段スタートアップと大企業は個別面会の際どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか?事業連携や事業共創に繋げるためにはどのような会話が必要か気になりませんか?
そこで、∞Laboでは新企画として『人生を掛けて世の中を変えようとしているスタートアップと新規事業を起こそうとしている大企業が同じステージに上がり、本来はクローズドで行われる個別面会の様子をあえて公開することで、共創の火種が生まれる瞬間に皆で立ち会おう』という想いを込めた「MUGENLABO MONTHLY STAGE」を実施しました。
本企画では、スタートアップ1社とパートナー企業2社にご登壇いただき、約20分間のディスカッションを行ってもらいます。第1回目のご登壇は以下の皆様でした!
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小田急電鉄 和田様
大日本印刷 罇(モタイ)様
スタジオスポビー 代表取締役 夏目様
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引き続き連携に向けたディスカッションをしていきたいとのことでした!
- めぇ〜ちゃん
- 各社のインタビュー記事もお楽しみに!
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