代表取締役社長の鈴木氏に伺いました

何をしている会社ですか？

鈴木：エマルションフローテクノロジーズ(EFT)は、「限りあるレアメタル資源を未来につなぐ。」という理念のもと、2021年4月に設立した国立研究開発法人日本原子力研究開発機構（原子力機構）発のスタートアップ企業です。

レアメタルというのは、身の回りの機器に使われています。例えば、スマートフォンやパソコン、電気自動車、モーターなどが挙げられます。特にIT化や自動運転などの進展にも欠かせないものであり、レアメタルは私たちの生活を豊かにするために重要な金属と言えます。私たちが開発している装置は、レアメタルを生産するために不可欠な溶媒抽出プロセスに革新をもたらす事を通じてレアメタルを未来につなぎます。

なぜ会社を立ち上げたのですか？

鈴木：創業メンバーである原子力機構の研究員らによって使用済核燃料の元素分離技術として開発された新しい溶媒抽出技術、「エマルションフロー」という唯一無二の優れた技術を社会課題解決に活用したいという強い想いが私たちの原動力です。レアメタルは未来社会を支える重要な素材であり、使用量が増えていく一方のため、近い将来には供給が全く追いつかなくなる可能性があります。リチウムイオン電池の中に含まれるコバルトやニッケル、リチウムのようなレアメタルは2025年には供給不足が顕在化すると言われています。

供給不足に加えてレアメタルは鉱山から掘り出すため、環境破壊や劣悪な労働環境による人権侵害、そして資源紛争といった地政学的な問題を数多く抱えています。このような背景も世界での供給不安のリスクの高まりに影響しています。このようなレアメタルを取り巻く社会課題を解決するために私たちがやるべきこと、それがレアメタルリサイクルです。そして、そのレアメタルリサイクルを実現するのがエマルションフローなのです。

これからの目標はありますか？

鈴木：レアメタルを活用するための課題に対して、私たちEFTが実現することは次の二つです。一つは水平リサイクル、もう一つは完全循環です。

水平リサイクルとは、エマルションフロー装置を使って、低コスト・低炭素・簡単な方法で高純度のレアメタルを回収し、ハイテク機器などの商品生産の原材料として再利用する資源循環を実現することです。完全循環とは、山から採掘したレアメタルを地下資源とすると、この地下資源は地上で商品としてストックされます。EFTはエマルションフロー装置を使って地上資源のリサイクルを繰り返すことで地下資源に頼らない資源循環を実現します。

私たちEFTは、この二つの実現を通じて、地下資源を使い続けてきた線形経済から、「地上資源を未来永劫使い続ける完全循環型経済」の実現を目指し、私たちのエマルションフロー技術でその社会の実現を加速します。そして、世界中の一人ひとりに、枯れることのない自然と、絶え間ない革新による豊かな未来を一緒に届けます。

KDDIからの出資を通して期待していることはありますか？

鈴木：サステナビリティについて先進的な取り組みを行っているKDDIから出資頂けた事を光栄に感じています。私たちEFTはレアメタルリサイクル事業によって KDDI GREEN PLAN 2030 の循環型社会の形成に貢献できると考えています。EFTは地上資源を未来永劫使い続ける完全循環型経済の実現を目指していますので、KDDIと共に使用済み携帯電話やスマートフォンを対象としたLIBリサイクルに係る実証を行い、リサイクルエコシステムの構築や携帯電話等の回収量確保に向けた消費者の行動変容を促進していきたいと思っています。

最後に一言お願いします

鈴木：レアメタルのリサイクルはリチウムイオン電池が注目されていますが、リサイクルはそれだけではありませんし、エマルションフロー技術の汎用性の高さから、EFTの事業領域はリサイクルに留まりません。既に金属精錬、水処理、化学・バイオ、食品・アグリなど幅広い領域で多くの引き合いを頂いております。いずれの事業領域でも溶媒抽出が可能なものであれば有価物の回収等を実現します。

EFTが目指す市場は世界です。私たちEFTは革新的な装置によって全ての事業領域に携わるお客様の課題を解決します。解決したい課題がございましたらお気軽にお声がけください。限りあるレアメタル資源を未来につなぐ、エマルションフローテクノロジーズでした。お読みくださりありがとうございます。