- インタビュー
2022年11月18日
プリンテッド・エレクトロニクス製造技術 - エレファンテック
- エレファンテック株式会社
清水 信哉 - 代表取締役社長 兼 CTO
2022年10月21日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ5社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
3社目はエレファンテックです。プリンテッド・エレクトロニクス製造技術を開発するスタートアップです。今回は、エレファンテック代表取締役社長兼CTOの清水信哉氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃん
- 『P-Flex®』とは、エレファンテック社独自の製法によるフレキシブル基板です!
代表取締役社長兼CTOの清水氏に伺いました
何をしている会社ですか?
清水:「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」というミッションの下、独自開発した金属インクジェット印刷技術を用いて、環境負荷の小さいフレキシブル基板(FPC)、「P-Flex®」の製造・販売を行っています。
P-Flex®PI サンプル
これまでFPCを含むプリント基板は「全面に金属を貼った上で、不要な部分を溶かして捨てる」サブトラクティブ法と呼ばれる方法で作られてきました。この方法は工程が長く、不要な部分の金属を大量の水を用いて溶解・破棄する必要があることから、環境負荷が非常に高く、ESG視点で大きな課題がありました。
私たちは「インクジェット方式で、必要な部分だけに金属を印刷する」ピュアアディティブ®法を確立、省エネルギー・省資源で圧倒的に環境に優しいものづくりの方法を確立しました。従来法と比較して、エネルギー消費77%減、水消費95%減でプリント基板を製造することが可能となりました。2020年には量産・市場採用に成功し、その後2年が経過してもリコールがなく、高品質を達成しています。
また、P-Flex®製造・販売に続く第二第三の事業領域として、樹脂と電子回路を一体化する技術(IMPCソリューション)の提供や、インクジェットものづくり支援(AMC)を手掛けています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
清水:私がこの領域で会社を立ち上げたのには、2つの理由があります。
- 我々がいたから人類の問題解決が進んだ、という課題を解くことに人生を使いたい。自分がやらなくともどうせ誰かが解く問題を、多少うまく解くことに人生を使いたくない。
- 我々が今までにない成功の類型となって、次に続く成功のきっかけとなりたい。例えば日本人でもメジャーで活躍できるんだと証明した野茂英雄(今なら大谷翔平)のように。
この基準で考えたとき、世界の誰も解いていない人類の課題を日本発で解き・世界で成功する、ということを狙えるアイデアは多くありません。この技術はそれが狙えるものだったので起業しました。
これからの目標はありますか?
清水:直近の目標は当社製法で対応できる製品を広げることです。プリント基板には多数の種類がありますが、現在量産しているのは片面フレキシブル基板であり、両面フレキシブル基板を始めとする様々な種類への対応を進めています。また環境負荷低減への関心が強い海外企業からの関心が強くなっていることを受け、海外向けの製造・販売体制を強化していきたいと考えています。
中長期的には、製造装置の販売を通じて当社製法をグローバルスタンダードにすることが目標です。世界中で当たり前のように、環境に優しく、持続可能なものづくりがなされている未来を想像しています。また金属をインクジェット方式で印刷する技術は、プリント基板以外にも応用が可能です。既に多数の引き合いを頂いている状態ですが、本技術の適用領域拡大についても並行して進めていく考えです。
最後に一言お願いします
清水:日本発の技術でこれまでの環境負荷の高いものづくりを根本から置き換える、希少な機会であると考えています。世界の持続可能性に関わる課題を解決していくために、ぜひ皆様と一緒に歩んでいければと考えていますので、よろしくお願いいたします。
- めぇ〜ちゃん
-
日本が得意とするものづくりの分野で、日本発の技術で世界の課題解決を目指す姿が素敵です!
それでは次回もお楽しみに!
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