- インタビュー
2021年12月27日
mRNA標的創薬で希望に満ちたあたたかい社会の実現を - Veritas In Silico
- 株式会社Veritas In Silico
中村 慎吾 - 代表取締役社長
KDDIは、mRNA標的創薬プラットフォーム「ibVISⓇ」を運営しているスタートアップ、Veritas In Silicoへ出資したことを公表しました。「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。
今回はVeritas In Silico代表取締役社長の中村氏にお話を伺いました。
代表取締役社長の中村氏に伺いました
何をしている会社ですか?
中村:当社は、どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会の実現に貢献するため、当社独自のインシリコ技術(IT技術)と生物学的実験技術(Biology)を統合した創薬プラットフォーム「ibVISⓇ」により、mRNAを標的とする医薬品の創出に取り組んでいます。
当社「ibVISⓇ」の特長は、製薬企業が保有している豊富な創薬インフラをそのまま活かし、mRNAを標的とした新たな創薬に取り組める点にあります。現在、癌や精神疾患領域を中心とした様々な疾患に対し、複数の製薬会社をパートナーとして、mRNA標的医薬品の早期実現を目指しています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
中村:従来のタンパク質を標的とする創薬では満たされない医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)に応えたい。それに応えられるのはmRNA標的創薬である。このような思いから起業しました。
当社が考えるアンメットメディカルニーズとは、希少疾患など現在医薬品が存在しない疾患にとどまらず、通院でしか投与できない医薬品であったり、高価な医薬品しか存在しない疾患も含む社会的な医療ニーズのことです。最先端の科学技術を使った治療方法であっても、治療が高価で製造法等が確立されていなければ、全ての患者様に届けることはできません。当社のmRNA標的創薬は、「自宅で服薬でき、誰にでも手の届く価格の医薬品」を実現できる技術です。
これからの目標はありますか?
中村:当社のmRNA標的創薬プラットフォーム「ibVISⓇ」は、mRNA上に標的を発見する理論計算手法、mRNA標的に対する化合物のスクリーニング手法、mRNA標的に作用する化合物の実験的検証手法、RNA-複合体三次元構造の測定から始まるコンピュータ支援医薬品設計手法を統合しており、パートナーである製薬会社から高くご評価いただいています。
直近の目標は、「ibVISⓇ」をより多くの国内外製薬会社にご提供することで、その延長として、より多くのmRNA標的医薬品を社会にお届けすることです。将来的には、mRNA標的医薬品を中心としたスペシャルティファーマとなり、長期にわたり社会の健康医療に貢献していきたいと思っています。
資金調達を通して期待していることはありますか?
中村:当社はITを駆使するバイオテク企業ですが、だからこそ、KDDIには高度なIT技術でご支援を賜れると幸いです。当社は、創薬研究に必要な各種理論計算を実現するソフトウェアから、日々の業務を簡略化する実用的なソフトウェアまで、あらゆるソフトウェアを自作することで、少数精鋭による事業の遂行を可能にしています。KDDIには、当社が得意としないビッグデータ解析等において、実際的・技術的ご支援を期待しています。
最後に一言お願いします
中村:当社は、製薬企業様と共同でmRNA標的創薬を実施することが、広範なアンメットメディカルニーズの克服につながると信じています。医療経済性に優れた社会が求める医薬品(特に低分子医薬品)の創出を目指す製薬会社の皆様は、ぜひ当社にお声がけください。当社の「ibVISⓇ」をご利用いただき、アンメットメディカルニーズに応える医薬品の創出に共に取り組ませていただけますと幸いです。