- インタビュー
2021年08月25日
ITの力で通院が困難な夜間・休日に安心できる医療体制を作り、地域医療の強化を目指す- ファストドクター
- ファストドクター株式会社
菊池 亮(写真左) - 代表取締役・医師
2010年帝京大学医学部卒業 。帝京大学医学部附属病院、関連病院にて整形外科に従事後 、2016年にファストドクターを創業し代表に就任。帝京大学医学部救急医学講座を兼務 。日本整形外科学会専門医 、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医 、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医、一般社団法人日本在宅救急医学会評議員、一般社団法人日本在宅ケアアライアンス 災害対策委員会・新型コロナウイルス感染症対策班プロトコール作成ワーキンググループメンバー。
- ファストドクター株式会社
水野 敬志(写真右) - 代表取締役
京都大学大学院農学研究科修了後、外資系コンサルティングファームのBooz&Company(現PwC Strategy&)、楽天株式会社 にて戦略および組織マネジメントの経験を積む。2017年よりファストドクターを含む複数ベンチャーを支援、 2018年からファストドクター株式会社の代表取締役に就任。
KDDIは全国で通院が困難な夜間や休日に救急相談・救急オンライン診療・救急往診を行う、時間外救急プラットフォーム「ファストドクター」を運営するファストドクター社に出資したことを公表しました。「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。
今回はファストドクター代表取締役の菊池 亮氏、水野 敬志氏にお話を伺いました。
代表取締役の菊池 亮氏、水野 敬志氏に伺いました
何をしている会社ですか?
菊地:「ファストドクター」は、全国10都府県の医療機関から構成され、1,100名以上の医師(常勤、非常勤)が活躍する、時間外救急の総合窓口です。「患者の不安」と「地域のかかりつけ医の負担」の、両者を低減支援することを目的に、患者からの相談に総じて救急病院の案内や、必要時には「救急オンライン診療」「救急往診」を実施し、医療リソースがひっ迫しやすい夜間や休日における適切な受診行動を支援しています。コロナ禍では、東京都や大阪府といったコロナ陽性患者が急増する地域において、自治体から自宅療養患者の医療支援を受託するなど、社会貢献性の高い事業を展開しています。
時間外救急/救急業務プラットフォーム「ファストドクター」
なぜ会社を立ち上げたのですか?
菊地:大学病院のER医師(救急外来医師)として勤務していた時、夜間救急の現場で不要不急の救急車利用に多く直面しました。本来であれば重症患者を迅速に搬送するための資源が消費されてしまっていることに疑問を感じ、不適切な受診行動をどのようにしたら変えていけるのか?と考え始めたのが、創業のきっかけでした。
この背景には少子高齢化をはじめとした社会環境の変化がありますが、そもそも夜間帯はかかりつけ医が対応できないことが多いうえに、自力で通院もできないためにアクセスの手段として救急車を利用する方が増えています。
そこで、かかりつけ医の代わりに、患者さんからの救急相談や救急診療のニーズに応えられる仕組みをつくろうと考えました。
水野:医療の世界は社会的意義が高い一方で、労働集約的で「医者の頑張り」に支えられている部分が多いです。特に時間外救急は長時間労働が深刻な領域です。ここをITの力を使うことで、医療者・患者のどちらにとってもなめらかな診察体験を提供できれば、持続可能な時間外救急の体制につなげることができると思っています。
これからの目標はありますか?
菊地:これまでのファストドクターは、「患者さんに向けた救急医療サービス」というイメージが強かったように思います。今後は患者さんはもちろん、地域の医療・介護従事者からも求められるサービスとして進化していきます。ファストドクターが夜間休日帯におけるかかりつけ医機能を担っていくことにより、地域の医療全体として、良質かつ持続可能性の高い医療提供体制を目指して行きたいと考えています。
水野:救急車に並ぶあらたな医療インフラとして日本全国に普及させていきたいと思います。そのためにはDXを通じてさらに効率的に救急医療を届けられるようにしたい。具体的にはいま診察と移動時間込みで70分かかっている救急往診を40分に短縮できるようなシステムを導入していきたい。また医療リソースがより枯渇している都心部以外では、医師が動かなくてもオンライン診療で同程度の診療ができるよう、リモート診察デバイスがスムーズに使える世界を作ってきたいと考えています。
資金調達を通して期待していることはありますか?
菊地:これからのファストドクターに不可欠な医療DXを担う人材および地域医療連携を推進する人材の拡充を行い、地域医療に貢献できる体制を強化していきます。「世の中の医療課題に取り組んでみたい」という、高い志をもった方とファストドクターで一緒に成長を楽しみたいと思っています。
水野:救急車に替わる新たな医療インフラを作るというVISIONを共にできる仲間を、株主や従業員(の候補者様)という形でどんどん増やして行きたいと思っています。
最後に一言お願いします
菊地:救急医療の総合プラットフォームの構築に向けては、患者さんだけでなく、自治体、医療・介護従事者、そして企業の皆様との連携が必要です。ファストドクターが目指す日本の医療を下支えするインフラとなるべく、ぜひお力添えいただければ幸いです。
水野:新たなインフラを作るためにゼロから投資するのではなく、KDDIさんをはじめとした大企業のアセットをうまく活用していきたいです。特に高齢者顧客基盤、医療機関連携、物流、IoTといったアセットをもつ企業様とはシナジーが高いかと思いますので、ともに超高齢社会における医療のDXを推進していきましょう。
https://fastdoctor.jp/corporate/
全国で通院が困難な夜間や休日に救急相談・救急オンライン診療・救急往診を行う、時間外救急プラットフォーム「ファストドクター」
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