- インタビュー
2021年10月13日
食糧危機と環境保全の希望、おいしい植物肉「ミラクルミート」- DAIZ
- DAIZ株式会社
井出 剛 - 代表取締役社長
KDDIは、発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するスタートアップ、DAIZへ出資したことを公表しました。「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じたもので、出資額や評価額などの詳細は非公開。
今回はDAIZ代表取締役社長の井出 剛氏にお話を伺いました。
代表取締役社長の井出氏に伺いました
何をしている会社ですか?
井出:発芽大豆を使用した植物肉原料「ミラクルミート」の開発・生産を行う熊本発のフードテックベンチャーです。従来の植物肉は、(1)味と食感に残る違和感、(2)大豆特有の青臭さや油臭さ、(3)肉に見劣りする機能性(栄養価)といった課題を抱えていました。DAIZのミラクルミートは原料に丸大豆をそのまま使用し、独自技術「落合式ハイプレッシャー法」で発芽させ、お肉のような弾力や食感を再現する加工を行うことでこれらの課題を解決し、肉に近い食感・風味・栄養価を実現したおいしい植物肉原料を生産・販売しています。
「ミラクルミート」イメージ
ミラクルミートはこれまでに、フレッシュネスバーガーなどの大手バーガーチェーンや飲食店で採用された実績を持ち、大手スーパーイオンではミンチ肉、ライフでは餃子やメンチカツなどに商品化されています。また、味の素やニチレイフーズなどとの共同開発も進めています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
井出:もともとDAIZは果実堂というアグリベンチャーの中で新規事業として生まれた会社です。果実堂の創業の地は熊本県の水俣で、水俣病で土壌汚染の公害被害にあった地でもあります。水俣は公害で傷んだ水・土の再生への取り組みなど、持続可能性について向き合ってきました。
その水俣に縁のあるDAIZは、発芽を30年以上研究していた技術力を強みにミラクルミートを生み出しました。温室効果ガスの排出を抑える効果の高い植物肉の普及を通じて、タンパク質危機や地球温暖化の解決に貢献し、サステナブルな世界を目指しています。
これからの目標はありますか?
井出:ミラクルミートの普及を通じて、植物肉の一般消費者への広がり・浸透の役割を担っていきます。牛・豚・鶏などのお肉が当たり前に選ばれるのと同様に、植物肉が一般家庭の食卓に当たり前に並ぶよう、新しい食文化の啓蒙を行って参ります。
DAIZはパートナー協業戦略をとっており、各領域で素晴らしい技術・ノウハウをお持ちの大手企業様と業務提携を進めています。オールジャパン構想を掲げ、日本の食品技術を結集させることでミラクルミートの改良を重ねてきました。今後も大手企業とのパートナーシップを深め、さらに美味しい植物肉を開発することで、日本発のプラントベースフードカンパニーとしてグローバル市場でも事業を拡大させて参ります。
資金調達を通して期待していることはありますか?
井出:KDDIのアセットやコネクションを生かしたミラクルミートの認知向上・販路拡大・環境価値の活用を期待しています。KDDIのレシピ動画配信サービスや子育て世代の女性向けメディア等の多様なサービスを通じて新たな消費者との接点を増やしていきたいと考えております。
最後に一言お願いします
井出:サステナビリティに注力されているKDDIやその出資先スタートアップの皆様と志を同じくして、持続可能な食糧供給や温室効果ガスの低減といった社会課題の解決にともに取り組んでいきたいと考えております。良い形でパートナーシップを深めることができますと幸いです。