- インタビュー
2021年05月31日
秘密計算でデータ活用に革命を - Acompany
- Acompany
高橋 亮祐 - 代表取締役社長 CEO
2021年5月20日、KDDI ∞ Laboの月次全体会(完全オンライン実施)において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部の新米記者めぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。
2社目はAcompanyです。秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」を開発しているスタートアップです。今回はAcompany代表取締役社長 CEOの高橋 亮祐氏に話を聞きました。
- めぇ〜ちゃんMUGENLABO Magazine編集部
- 本誌の新米記者。事業共創やオープンイノベーション、CVCに関する知識を勉強しながら、MUGENLABO Magazineの制作に携わる。
- めぇ〜ちゃん
- 秘密計算とは、データを暗号化したまま解析できる技術です。この技術を使うことによって、個人情報や機密情報のデータ分析を安全に行うことができます!
CEOの高橋氏に伺いました
何をしている会社ですか?
高橋:Acompany(アカンパニー)は、データを暗号化したまま分析できる秘密計算技術の社会実装に取り組んでいます。 秘密計算は既存の暗号ソリューションとは違い、データの解析も暗号化したまま可能であるという特徴を備えています。データのプライバシー保護とデータ流通の両立に期待の大きい秘密計算技術ですが、これまでのところ研究開発段階に留まっているケースが多いのが現状です。
Acompanyが採用するMPC(Multi-party Computation)という手法は、複数の組織がデータを共有する際の処理速度とセキュリティの高さを兼ね備えた技術です。しかしその実ビジネスへの適用においては、複数のサーバー間で通信しながら同時に計算を行う必要があり、高い計算処理能力とネットワーク通信速度が必要であることに加え、MPCエンジン構築のための高度な専門性とエンジニアリング能力が求められることが課題となっていました。
Acompanyが独自に開発した高速かつ汎用的な演算処理が可能な秘密計算ソフトウェア「QuickMPC」でこうした課題を越え、デジタルマーケテイングや医療・物流などユーザのプライバシーを保護しつつデータ活用が必要な領域へ事業を展開しています。
「QuickMPC」サービスモデル
ビジネスモデルとしては、秘密計算エンジン「QuickMPC」のライセンス提供及びアルゴリズム開発、秘密計算やプライバシーデータの活用を支援するコンサルティングを提供しています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
高橋:名古屋大学在学時にエンジニアとしてシステム開発の業務に関わる中で、仕組みで世の中をより良くしたいと想いを持ち、個人ではなく法人としてそのチャレンジを行うために会社を設立しました。 当初から秘密計算の事業を行っていたわけではなく、以前はブロックチェーン技術を軸とする事業を行っていました。
ブロックチェーン技術をコアにシステムの開発や教育プログラムなどを提供する中で、複数企業でのデータ活用についてディスカッションを重ね、その際に最も多く出てきた声が「データ活用をしたいが、データ自体は出したくないんだよね。」という内容でした。今後のデータ活用における大きな課題だと認識して、データを公開せずに活用できる技術である秘密計算に着目し今に至ります。
これからの目標はありますか?
高橋:私たちは、5年後10年後に秘密計算が当たり前になっている世界で、Acompanyが開発をする「QuickMPC」が世界中で標準として使われるような秘密計算エンジンにしていくことを目指しています。
秘密計算はデータ活用に革新を起こせる技術です。 データの分析時は機微情報であってもローデータ(生データの状態)で扱わなくてはなりませんが、秘密計算ではデータを秘匿したまま安全に扱うことが可能になります。 さらに組織を越えたデータ連携を行う際に、データの中身を開示することなく分析ができるようにもなります。
あらゆる企業がDXに取り組み、データのデジタル化が進む中で、他社データとの掛け合わせニーズも増えています。 こういったトレンドの中で、企業の持つプライバシー情報や機密情報など活用の難しいデータからの価値創出をどんどん実現していきたいと考えています。
最後に一言お願いします
高橋:個人情報保護法の改正や欧州のGDPRなど、プライバシー保護は大きなトレンドです。Acompanyは秘密計算というプライバシー保護技術に強みを持つだけでなく、個人情報に関する法規制にも知見を持っています。 企業をまたぐデータの活用をしたいが、プライバシーの問題や漏洩の問題に不安がある企業様は、ぜひ弊社にご相談いただければと思います。 機微情報のため活用が難しいデータからの価値創出にお力添えさせていただきます。
それでは次回もお楽しみに!
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