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2022年01月31日

超大規模シミュレータで製品開発を支援 - DeepFlow

DeepFlow株式会社
深川 宏樹
代表取締役社長

2021年12月17日、KDDI ∞ Laboの月次全体会において、スタートアップ6社が大企業に向けてピッチを行いました。MUGENLABO Magazine編集部のめぇ〜ちゃんが登壇企業にインタビューを行いました。

3社目はDeepFlowです。超大規模な新型シミュレータ「Elkurage」を開発するスタートアップです。今回は、DeepFlow代表取締役社長の深川 宏樹氏に話を聞きました。


めぇ〜ちゃん
『Elkurage』とは、大規模・高精度・高速の新型シミュレータです。シミュレータとAIを組み合わせ、現象解明・予測をすることで高度な製品開発を支援します!

代表取締役社長の深川氏に伺いました

何をしている会社ですか?

深川:DeepFlowでは、独自の大規模・高精度・高速の新型シミュレータ「Elkurage」を開発しています。このソフトウェアは、HPC(高性能計算)クラウドの数十から数万コアを使い、設計データを元にした高解像度の全体物理シミュレーションを実行します。更にこの新しいシミュレーション技術をコアにして、パラメトリックスタディによる自動設計や、AIによる現象解明・予測も行っています。


「Elkurage」イメージ

  • 自動設計
    パラメータ化された設計諸元を元に様々な設計CADデータを自動生成し、それらの性能をシミュレーションで評価して、最適な設計を見つけます。膨大な数の設計と評価を繰り返すことで、高性能な製品の設計が可能となります。
  • 現象解明・予測
    シミュレーションにセンサーデータを取り入れるデータ同化や、シミュレーション結果をAIに学習させる機械学習などをして、AIによる現象解明・予測をします。これと制御を組み合わせることで、複雑なシステムの高精度な制御が可能となります。

私たちのサービスでは課題ごとにシステムの導入と運営を行います。そして、シミュレーション技術を使って研究開発が加速されるように支援していきます。

なぜ会社を立ち上げたのですか?

深川:私は学生の頃から「数学とコンピュータを使った研究開発を促進するための基盤技術」を作りたいと思っていました。「創造性を飛躍させる」という当社のミッションは、この人生の目標を反映させたものです。

私は2012年に慶應義塾大学で博士(理学)を取得した後に、国内外の企業、研究所、大学で研究者・開発者として働いていました。2015年から3年半、九州大学の特任助教として国家プロジェクトの革新的燃焼技術 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に携わり、計算アルゴリズムの考案と大規模流体構造連成解析のシミュレータの開発をしました。研究成果を産業に広く役立てたいと思い、2018年7月にCAE(コンピュータを使った設計支援)ベンダーのDeepFlow株式会社を創業しました。

これからの目標はありますか?

深川:試作品による性能調査では、時間や手間が膨大になる、センサーが使えない場所での現象解明が難しいといった課題があります。もし設計データをそのまま使って物理シミュレーションができれば、試作なしで全域にわたる詳細なデータ取得が可能となり、性能評価と改良を迅速に行うことができます。高度なものづくりにはシミュレーションは不可欠な技術であることがわかります。

CAEシミュレーションの歴史は古く、最初の商用ソフトウェアは1970年前後に出ています。それから50年経ち、クラウドを使って複数のコンピュータを同時に実行するなど、コンピュータの使用環境は大きく変化しました。しかしクラウドでの並列計算には技術課題がまだまだ多いです。これらを解決し、高度なCAEを手軽にすることで世界中の設計者が高性能な製品開発ができるようにする、つまり、創造性を飛躍させるのが私の夢です。

最後に一言お願いします!

深川:設計開発におけるシミュレーション技術は増々重要となっていきます。物理シミュレーターの開発には、モノや構造を支配する原理を見いだすための数学、現象をモデル化するための物理、コンピュータで処理するための情報科学、そして、実際の製品づくりのための工学などの幅広い分野の知識が必要です。一緒にこの技術を育て、良い設計を行い、良い製品を出していければと思います。

めぇ〜ちゃん
シミュレーションの技術の向上が高度なものづくりに繋がっていくのですね!

それでは次回もお楽しみに!

DeepFlow
https://www.deepflow.co.jp/
超大規模流体構造連成解析システムの開発

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